床ずれ予防のピラミッド【vol.004】
床ずれを予防するには、どんな対策をするべきか
その優先順位はどれから先に取り組まなければならないか
この二つを上手く表現できるものがないか探していた時に
ピラミッドで表現することを思いついて作ったのが
「床ずれ予防のピラミッド」です。
私が勝手にそう読んでいるので
専門家の方に訊いても、何それ?となりますのでご注意ください。
手前味噌ですが、語呂も良く大変気に行っています。
先ずは形を観て下さい。これです。
/\
/ \
/ D \
────────
/ \
/ C \
──────────────
/ \
/ B \
────────────────────
/ \
/ A \
──────────────────────────
皆さんのお手元では、ちゃんとピラミッドの形に見えてますか。
少々不安です(笑)
床ずれを作らないための予防策をA・B・C・Dの4つに絞り、
土台の方からより優先順位の高い順に並べました。
砂上の楼閣にならぬよう、
Aから順にB・C・Dと解決していかないと
床ずれ予防効果は発揮できません。
床ずれを作ると介護負担が大きくなります。
治療に時間もかかるし、お金もかかります。
その間に介護度が重くなっていくこともあります。
床ずれは作らないのが一番。
介護・看護の仕事をしている方なら常識ですが
改めて取り組みの順番を整理したいと思います。
それでは、ABCDが何で、
どうしてこの順番か、を説明していきます。
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●A=「本人・家族への教育と指導」
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優先順位・第1位は「本人・家族への教育と指導」です。
聞いていない、教えられていない、知らない
ことのないようにするのが最初に取り組みべき課題です。
全ての問題はここから発生します。
本人やご家族は、床ずれに関して素人です。
素人に言っても仕方ないと思わず、情報をちゃんと伝える事です。
老老介護だから、マンパワーがないから、理解できないから
そんなことを言わず、本人・家族がやるべきことをきちんと教えます。
床ずれの仕組み、どうして床ずれになるのか
どうすれば床ずれを予防できるのかを教えます。
教える方も、教えるスキルを持たなければなりません。
「知っている」と「教えられる」は全く別のスキルです。
専門用語を使って話すのは専門家の悪い癖。
知ってるだけで教える能力がない事を自ら暴露してるも同じ。
素人でも、わかり易く、平易な言葉で教えられるよう
日頃からの鍛錬が必要です。
個人によって説明にばらつきがないよう
床ずれ予防のポイントパンフレットを作るのも良い工夫です。
とにかく、情報を遮断せず、専門家が率先して情報を流しましょう。
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●B=「除圧・減圧・体圧分散とズレ力の排除」
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優先順位・第2位は「除圧・減圧・体圧分散とズレ力の排除」です。
床ずれとは、圧迫が原因の虚血性壊死。
簡単に言いえば、細胞の窒息死です。
身体に加わった圧力やズレの力により
酸素を運ぶ血管が閉塞されるのが原因。
死んだ細胞で細菌が増殖して膿を出す、これが床ずれです。
除圧とは、体位変換をして長時間同じ個所に圧がかからないようにすること。
減圧とは、寝具・マットレスの硬さを適切に管理すること。
体圧分散とは、適切なポジショニングを行って圧を平均化すること。
ズレ力の排除とは、背抜き・尻抜き・かかと抜きをすること、
引きずる介護を止めること。
これらが適切に行われることで床ずれの発生リスクは低下します。
Aの下地がなければ
除圧・減圧・体圧分散とズレ力排除が軽視されます。
だからBが優先順位・第2位。
いやいや、栄養状態を改善するのが一番大事だろう!
と仰る方々がいます。
私は、この考えに賛成できません。
宇宙空間のように無重力下で床ずれになるか、と言ったら
恐らく、栄養状態が悪い方でもならないのではないでしょうか。
しかし、栄養状態の良い方でも地球上では床ずれになります。
これが私の理由。
栄養状態はこの次です。3番目。
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●C=「栄養状態の管理」
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優先順位・第3位は「栄養状態の管理」です。
栄養管理が大事である事は否定しないし、当然なのですが、
優先順位としては3番目になります。
AとBの対策ができているから、
栄養管理の効果が出てくるんです。
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●D=「床ずれになり易い所のケア」
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最後は、「床ずれになり易い個所のケア」です。
清潔の維持、健康な皮膚を保つためのスキンケア、湿潤管理、などです。
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●まとめ
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冒頭のピラミッドにABCDを当てはめ、整理しますね。
床ずれ予防のピラミッドはこうなります。
/\
/ \
/なり易い\
/ 所のケア \
──────────
/ \
/ 栄養状態の管理 \
────────────────
/ \
/除圧・減圧・体圧分散とズレ力の排除 \
──────────────────────
/ \
/ 本人・家族への教育と指導 \
────────────────────────────
この関係を念頭に置いて
手順を間違えずに対策を進めてください。
床ずれは作らないのが一番です。