90度側臥位は本当にダメなのか【vol.010】

介護施設の方によれば「90度側臥位はしないよ!」
との答えが返ってきました。

そこで今回は、私の90度側臥位に対する考えをまとめました。

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●私は90度側臥位で寝るのが好き
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私は90度側臥位、いわゆる横寝で寝るのが好きです。
左右どちらも向きますが、心臓を上にした右向きが多いでしょうか。

仰臥位で寝るのはあまり長くないですね。
嫌いではありませんが、横寝の方が楽なので横寝が多い。

ちなみに他の人はどうなんだろう?と思い
お付き合いのある介護施設スタッフ7人に尋ねました。

「あなたはどの体位で寝るのが好きですか?」

結果は、

・仰臥位が好き…………1人(14%)
・90度側臥位が好き……4人(58%)
・色々……………………2人(28%)

6割方が90度側臥位で寝るのが好き、と出ました。
母数は少ないですが、あながち的外れではない、気がします。

で、疑問に思ったんです。

高齢者介護施設では、なぜ90度側臥位を禁じているのだろう。

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●なぜ介護施設では90度側臥位にしない?
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高齢者介護施設のスタッフにおききすると、
入居者に対して90度側臥位はしない、と言います。

理由は、

・肩を痛めるから
・下になった腕がしびれるから
・看護師がダメと言うから
・拘縮があるから
・腸骨や大転子に床ずれができるから
・体位が崩れやすく安定しないから

ざっとこんな意見が帰ってきました。

90度側臥位はやめましょう、が当たり前とされています。

冒頭の結果によれば、6割方の人は横寝が好きだと言っているのに
将来、要介護状態になったら90度側臥位では寝かせてもらえない
ってことですよね。

では、介護施設で入居者をどんな体位で寝かせているか、と言えば
仰臥位、もしくは30度~45度程度傾けた側臥位、のどちらかだそうです。

90度側臥位がダメとすれば
この体位ぐらいしかないでしょうね。

で、どうなったか

仙骨部・尾骨部・かかと部に多く床ずれが発生しています。

身体を斜めに傾けたことでポケットタイプの床ずれが
大転子や腸骨部に発生している。

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●90度側臥位はダメな体位なのでしょうか…
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結局、どの体位にしても何かしらの問題が起こります。
90度側臥位だけが悪い体位ではありません。

90度側臥位で体位が崩れやすいとすれば
ポジショニングがなっていない証拠。

肩を痛める、下になった腕がしびれる、これも同じ。

マットレスの選定とポジショニングをしっかりすることで
ある程度軽減できる問題です。

90度側臥位で起こりうる問題はある、とした上で
どうしたらより安全な90度側臥位が可能かを考える方が
介護のプロとして正しい向き合い方ではないのかな、と思います。

まして、その方の好きな寝る体位が90度側臥位なら
それを可能にすることが仕事ではないでしょうか。

90度側臥位を見直してみてはどうでしょうか。
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私は自分に戒めとして言いきかせています。

常識と言われるものほど一度は疑ったてみた方が良い。
誰もが「正しい」と言うものほど疑ってみるべき。

私たちの価値観は受けた教育と与えられた環境に縛られています。
そのことをなかなか受け入れがたいからこそ尚更に、です。

最後に、

全ての高齢者介護施設が90度側臥位を禁じているわけではなく
リスクを承知したうえで、取り入れている施設もあることを
付け加えさせていただきます。

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