エアマット利用者の寒さ対策と蒸れ対策【vol.011】
「寒さ」の原因は、
マットレス内の空気循環が原因。
部屋の空気を取り入れ、マットの中の空気を排出する、からですね。
室温が低いと、冷たい空気が入り、暖まった空気が排出されるので
マットレスがいっこうに温まらない、となるわけです。
これで風邪でも引いたら大ごとです。
「蒸れ」の原因は、
マットレスに通気性がない、
汗や湿気を吸ってくれない、ことに起因します。
エアマット表面にカビが発生したり、皮膚疾患を引き起こします。
蒸れは健康を害する問題です。
エアマットの「寒さ」と「蒸れ」を解決するには
できる工夫をする、のが現実的な対処です。
では、
どんな対処法があるか、
私の知る限りでご説明します。
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「寒さ」への対策
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●エアマットからウレタン系素材のマットレスに変更を検討する
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ウレタン系素材を使用したマットレスでも
エアマットに匹敵する床ずれ予防効果のあるマットもあります。
ウレタン素材は熱がこもりやすいので暖かく感じます。
季節によってマットレスを使い分けることも、ありです。
在宅介護で、レンタルしている商品なら、考えてみるべきです。
低反発素材とジェル素材はお勧めできません。
低反発素材は気温が下がると硬くなり、
ジェル素材は氷のように冷たくなります。
やはり、ウレタン系が良いと思います。
●ベッドパッドを重ねて敷く
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保温性が上がります。
エアマットにベッドパッドを敷いても良いのか?
先ず問題ない、と言えます。
パッドは薄いのでエアマットの機能を損なうものではありません。
但し、除湿機能が付いたタイプでは、
パッドでエアーの吹き出し口をふさがないように注意して下さい。
パッドにもいろいろな素材があるので
代表的な、ウール、ポリエステル、綿、の特徴をまとめておきます。
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【ウールの特徴】
保温力が高く、吸湿性があり、
乾燥すると貯め込んだ湿気を放出する湿度調節力がある。
洗濯・乾燥の取り扱いが面倒。
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【ポリエステルの特徴】
熱を伝えやすく暖かく感じる。
洗濯・乾燥性が良いが吸湿性がほとんどない。
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【綿の特徴】
吸湿性はあるが、乾燥性が悪い。保温力もこの中では一番低い。
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市販のパッドには、素材100%の物から、
素材の短所を補いあった混合タイプの物があります。
素材からいうと、ウールが保温力と湿度調節力があり
最もふさわしいのですが、介護用として発売されていません。
失禁を考えると洗濯・乾燥が面倒だからでしょうね。
それでもウールのパッドを、と言う方は
シングルベッド用のウールパッドを合わせて下さい。
家具屋さんで買えます。
最近は家庭用洗濯機で丸洗いできるウールパッドが販売されています。
サイズは幅が1mで少し大きいですが端を垂らしてシーツで巻き込めば
問題なく使用できます。
介護用ベッドパッドとして一番多いのはポリエステル素材100%。
付加価値として消臭機能を持つタイプも発売されています。
やはり洗濯・乾燥性が良いのが介護用に多い理由でしょうか。
ですが、吸湿性がないのでどうしても蒸れの心配は残ります。
綿素材のパッドは、夏場はまだ良いのですが
冬場はひんやりとして不向きです。
年間使用を考えると、私としてはお勧めできません。
●室内を温める
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エアマットに取り込む空気の温度を上げることが効果的です。
気温が下がる冬場であれば、
室温を18度~20度に保つようにしましょう。
部屋の空気は上が暖かく下が冷たいので、
特に、ポンプの空気取り込み口付近の温度に注意して
ポンプをできるだけ高い位置に設置することもお勧めです。
室温が外気並みに冷えることは避けましょう。
●電気敷き毛布を利用する
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使ってもいいの?
そんな声が聞こえそうですが、
大丈夫ですよ。
電気敷き毛布は、エアマットの下に敷き込んで下さい。
下からエアマット内の空気を暖めるようにします。
絶対エアマットの上には敷かないで下さいね。
失禁があった時、感電の恐れがありますから。
エアマットの下なら感電の心配はなく、安全です。
敷き毛布の温度調節は、
手で触っても熱く感じない程度までとして下さい。
●注意!「湯たんぽ」は絶対に使用してはいけません!
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理由は、エアマットの素材が熱に弱く破れやすいからです。
湯たんぽを置いた所だけ柔らかくなり破れやすくなります。
エアマットでの使用は絶対に控えて下さい。
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「蒸れ」への対策
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●ベッドパッドを重ねて敷く
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ベッドパッドは保温力やクッション性を高めるだけでなく
汗や湿気を吸収する役目も果たします。
しかし、現実は失禁を考えると洗濯・乾燥が面倒です。
それでも、汗もができたり、エアマットにカビが発生したり
それが原因で皮膚疾患になったりする状態ならば
ベッドパッドを使用した方が良いでしょう。
素材はウールがお勧め、もしくは、綿混合のポリエステル。
本当に汗かきでお困りならば、
次の方法がお勧めです。
●エアマットと身体の間に通気性を確保する
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マットと身体の密着を避け、空気の流れを作り、
汗が気化できるようにして湿気がこもらないようにします。
方法としては、エアマットの上にメッシュ素材でできた
パッド、または、重ね敷き用マットレスを敷き、シーツでくるみます。
メッシュ素材は体圧分散性も良く、エアマットに重ねて敷けば
更に体圧分散性を高めることができます。
更に、エアマット特有の浮遊感や船酔い感を軽減し
寝心地が良くなったと言う方もいます。
私は夏になると毎年メッシュ素材のパッドを
ベッドに敷いて寝ています。
マットの柔らかさもアップし、蒸れも感じなくなるので
手放せなくなっています。
でも、気温が下がってくると、通気性の良さが災いするのか
冷えを感じるようになります。
その時期になるとメッシュパッドは外しています。
気温、季節に応じて、対処するしかないですね。
●注意!バスタオルを敷くのだけはやめて下さい!
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背中にバスタオルを敷いている方が結構いらっしゃいますが
これだけはやめた方がいい、と言わせて下さい。
バスタオルは綿素材100%が多い。
綿素材の特徴でも説明したように
乾燥性が悪い=いつまでもジメジメと濡れている
ことになり、かえって不快になります。
床ずれの原因にもなります。