ベッド背上げのまま身体がずり落ちない姿勢をキープするポジショニング・前編【vol.016】

電動ベッドを背上げすると、背上げの角度が大きくなるほど
寝ている方の身体がズルズルずり落ちてしまいます。

なんとかずり落ちないように背上げ出来ないものか?
と思っている方は意外と多いようです。

しかし、残念ながらそのような手立てはありません。

背上げによって身体がずり落ちるのは
マットレスとベッドの機構上の問題であり
どんなことをしても防ぎようがありません。

加えて言うなら、背上げで身体がずれないように
股関節の位置をベッドの屈曲部に合わせると良い、
というのもほとんど意味がありません。

これからお話しする内容は、

背上げをした後の姿勢崩れについて、
背上げした状態のままで長い時間いる時に
身体がずり落ちないようにするポジショニングについて、です。

●ポジショニングのポイント3つ
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結論を先に言うと
座位姿勢づくりと同じ発想をベッドに応用します。

骨盤の前傾、脊柱がきれいなS字カーブを描いて伸展
そうなるように姿勢を作ればいい。
ただ、膝が90度に曲がっていないだけ。

ベッドに寝て、背上げした状態で、
きれいな長座位姿勢を実現させるポイントは、

・背部マットレスに段差を作りコントゥアーする
・坐骨を受け骨盤の滑りを止めるアンカーを設ける
・膝は伸ばさず軽く曲げる

この3つです。

この条件を満足するようにポジショニングを行います。

たったこれだけの事ですが、
できなくしている原因が解からないと
やり方だけ知っても上手くいかない、ってことになります。

なので、ポイント3つの説明の前に、先に

電動ベッドを背上げしたままの姿勢でいると
身体がずり落ちてくる理由を整理します。

●身体がずり落ちる原因
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ざっくりと原因を列挙してみます。

・円背である
・腰が曲がっている
・骨盤が後傾させられる
・ハムストリングが短縮している
・マットレスが滑り台になっている
・ベッドの膝上げ機能の下げ過ぎ

このなかで一番見落とされがちなのが
ハムストリングの短縮です。

ハムストリングは、太ももの裏にある筋肉群の名前です。

ひざ下の骨と骨盤・坐骨をつないで、膝を曲げたり、
脚をひねったり、股関節を伸ばす働きをしています。

短縮とは、柔軟性と伸縮性が少なくなり
それほど伸び縮みしなくなっている状態です。

ひざを伸ばすと手で足の指に触れない身体の硬い人は
ハムストリングが短縮してると思って良い。

そんな人の身体を横から見ると
骨盤が全然前に倒れていません。後傾したままです。

ハムストリングが伸びないので骨盤が前傾出来ません。
だから、上半身が前傾できず、足の指に触れない。

膝を曲げればハムストリングが緩んで骨盤前傾が可能になり、
上半身が前傾できて、足の指に触れるようになります。

理屈は、拘縮した腕や手の指を開く方法と同じです。

高齢者はハムストリングが短縮している方が多く
同時に、股関節の可動域が狭くなっていたりします。

ベッドの背上げ角度を大きくしていくと
骨盤後傾のまま身体を曲げられるので、
背中と脚がつっかえ棒みたいにマットレスに押し付けられ
お尻が浮いてマットレス上を滑りやすくなります。

加えてマットレスがきれいなカーブを描いて曲げられるので
骨盤はカーブに倣って後傾させられ余計に滑りやすくなります。

これを防ぐには、

・膝を軽く曲げること
・背上げの角度をある程度の角度に制限すること

です。

腹部の圧迫との兼ね合いですが
その方に一番良い条件、背上げの角度、膝上げの高さ、を見つけて
それ以上にはしないようにすることです。

円背、腰が曲がってる、状態ならマットレス上を滑りやすくなります。

ここまで長い話になりました。
もう嫌になっていませんか(笑)

ここから、では、どうすれば良いのか、
やっとポジショニングのポイント3つ、に入りたいのですが
だいぶボリュームが出てきました。

続きは、次回に。

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