床ずれと3つの応力(おうりょく)【vol.022】
床ずれは医学用語で「じょくそう」と言います。漢字で「褥瘡」。
硬いので私は「じょくそう」を使う場合はひらがな表記しています。
じょくそうとは何か?
じょくそう学会の定義はこうです。
「じょくそう」とは—————————————————-
身体の一定の場所に、一定以上の応力が加わることで
皮下組織内部に血流が途絶え(虚血状態)、細胞が死んで起こる潰瘍。
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さてさて、表現を難しくすれば良いものではありませんね^^
潰瘍(かいよう)は、身体の一部が崩れてできた傷・ただれのこと。
「応力」って何だ?
床ずれの理解には応力を避けて通れません。
今回は、床ずれと3つあるとされる応力についてまとめました。
床ずれが出来る流れはvol.020で説明しましたが
改めて時系列に示します。
・同一箇所に圧迫する力が、長時間、継続してかかると
↓
・血管が押しつぶされ、圧迫箇所の血の巡りが遮断され
↓
・圧迫箇所周辺の細胞に酸素と栄養が運ばれなくなり
↓
・細胞が死ぬ
↓
・死んだ細胞内で細菌が増殖して
↓
・潰瘍が出来て化膿する
床ずれ発生を予防するには
血管を閉塞させてしまう力を取り除くか、軽減すること、が第一です。
血管を変形させ、閉塞させる力を持っているのが、応力です。
応力は、身体にかかった外からの力が、皮下組織内部に発生させた力です。
皮下組織内部とは、表皮・真皮・皮下脂肪・筋肉を指します。
応力は3つあります。
1)圧迫応力
2)引っ張り応力
3)せん断応力
ここからは想像力を膨らませて下さいね^^
力の向きを矢印で、血管の断面を○で説明します。
●圧迫応力は、押しつぶす力です。
こんな感じ。
↓
○
↑
●引っ張り応力は、引っ張り伸ばす力です。
こんな感じ。
←○→
●せん断応力は、ねじるような、引きちぎるような力です。
こんな感じ。
→
○
←
圧迫応力を軽減するには、
柔らかいクッションなどで身体を支えて体圧分散するのが効果的です。
引っ張り応力とせん断応力を軽減するには、体圧分散だけではダメで
皮下組織内部の歪みを取り除くことが重要です。
皮下組織内部に歪みを起こす原因、
摩擦や皮膚の突っ張りをなくすことです。
はじめに、床ずれ発生を予防するには
血管を閉塞させてしまう力を取り除くか、軽減することが第一
と言った理由はここです。
床ずれ予防=体圧分散、
ふかふかのマットレスを使えば良い、ではないのです。
身体を引きずる介助がいけない理由も、ここにあります。
くどいようですが言いますね(笑)
ズレた身体の位置を直す時も
スライディングシートを使い、極力摩擦をなくして
皮膚の突っ張りが発生しないようにしましょう!
電動介護ベッドのように、
構造上身体の引きずりがなくせない用具は
背上げ・背下げの後、すぐに「背抜き・尻抜き・かかと抜き」しましょう!
安楽さ、心地良さ、のカギは
応力の排除・軽減にあると言って良いと思います。
しびれや痛みの感覚が生じるのは
皮下組織内部に大きな歪みが生じている状態ですからね。