重量は骨格に受けさせると身体の負担が軽くなる【vol.030】

今回は、負担の少ない身体の使い方、です。

身体で最も負担のかかる場所と言えば、腰ですね。

腰痛に悩む人は多いでしょう。
私もこれまでぎっくり腰を三度経験した腰痛持ちです。

腰痛は、介護・看護の職業病のように言われますが、
そんなことはなく、どんな職業でも起こります。

腰痛を軽く見てはいけません。

腰痛から身を守ることは
生活全般に関わる重要な課題です。

腰痛を引き起こす原因に、筋肉で重量を支えてしまう
無理な身体の使い方があります。

重量を支えるのは本来、骨格の役目であり、
筋肉の役割は、骨格を動かし姿勢を変えることです。

筋肉で重量を支えてしまうと、柔軟性が失われ固くなります。
筋肉の動きも封じられます。

そこへ、急に変な向きの力が加わると
ガラスが割れるように、筋肉が損傷し、腰痛になるわけです。

身体への負担を少なくするには
骨格には骨格の、筋肉には筋肉の、働きをさせることです。

どういうことか、例え話で説明します。

床から積み木を積み上げていくと、
どこかの高さでバランスを崩して倒れます。

それは、
・床の振動だったり、
・うっかり積み木に身体をぶつけたため、
・積み木がだんだんとずれていったから、

いろんな原因が絡んで
結果的に積み木全体の重心が支持基底面から外れて倒れるわけです。
積み木自身にバランスを立て直すことはできません。

今度は、人間の直立姿勢を見てみます。

人間は、
・床が振動しても、
・誰かに身体をぶつけられても、
・瞬間的に重心が支持基底面から外れても、
ちょっとやそっとでは倒れたりしません。

すぐに筋肉を働かせ、
骨格を動かして重心の位置を修正する反応を見せ、
バランスを立て直して安定して立っていられます。

この時、筋肉を働かすと言っても
ほんの少しのエネルギー消費で済み、
体力の消耗には影響しません。

積み木の一つ一つが重なったのが人間の骨格と見て
重量は骨格に支えてもらい、骨格の動きを筋肉に任せると
身体への負担を軽くできます。

仮に筋肉が重量を支えいてる状態を
先の積み木に例えると

お辞儀をしているように曲がっていても倒れない状態。
つまり、積み木を接着剤で固定している状態です。

接着面には相当な負荷がかかります。
接着剤の強度が弱ければ、負荷の最も掛かる位置から剥がれ
積み木は倒れてしまうでしょう。

接着剤の剥がれは人間で言えば筋肉の損傷・腰痛です。
ひどい場合は積み木自体の損傷、椎間板ヘルニアなどが起こります。

骨格が本来の重量を受ける働きをすれば
筋肉にはそれほど負荷がかかりません。

骨格が重量を受けやすくするには、
重なる物同士の重心の重心線が重なるようにすることです。

重心線は、物体の重心を通る垂線です。

自分の身体であれば、マス同士の重心線を重ねる。
何か物を持つ時は、物の重心線と身体の重心線を重ね、
物の重量は極力身体の骨格で支えるようにすること、です。

こうした身体の使い方は、武道に通ずるものがあります。

「古武術介護」も相手の重量を自分の骨格に支えさせる技です。
筋肉で支えないので身体への負担が軽くなります。

一例を挙げると

長座位で床に座る人を後方から抱えて立たせる技は、
自分の重心に相手の重心を引き寄せ
出来るだけ身体を密着させるようにします。

自分の骨格の上に相手の重量を乗せて
真上ではなく、やや後方に向かいながら立ちます。

こうすることで、相手の重心線が自分の自分の重心線に近づくと同時に
自分の骨盤の上に相手の重量を乗せているのです。

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