あるべき枕のコントゥアーを通販番組で考察【vol.041】
BSテレビは、通販専用チャンネルか!と思うくらい
通販番組のオンパレードですね。
私も勉強のために時々通販番組を観るんです。
今回は、とある通販番組で紹介していた枕を取り上げ、
あるべき枕のコントゥアーについて考察してみました。
※コントゥアーは、英語の【contour】。
文中では身体の曲面形状に沿った形をしている、
の意味で使用しています。
●首だけでなく肩周りまでサポートする枕
————————————————————
その枕は、後頭部を枕中央部の窪みに収め、
頚椎に沿ったふくらみで首を望ましいカーブに整え、
肩周りの背部を支える形をしています。
いわゆる、肩から首、そして後頭部までを
身体の曲面に沿わせて(=コントゥアーして)支える枕でした。
試している女優さんが言うには
呼吸がとっても楽で、肩から首、頭の形が、
立ってる時の姿勢と同じだ、と言っています。
シナリオに沿って言ってるだけだと思いながらも^^
たぶん、その通りだな、と思って観てました。
頚椎支持の大切さを謳った枕は他社さんからも発売されていますが、
この枕は肩周りからサポートをしている点がウリです。
●ポジショニングの基本と共通している。
————————————————————-
円背の方の仰臥位における頭部の支えは(=ポジショニングは)、
肩周りから支えることがポイントになります。
理由はご存知の通り、円背の方が仰臥位をとると
肩周りとマットレスの間にすき間ができるからです。
このすき間を埋めつつ背中から首・頭部にかけて上手に保持すると、
快適かつ、安心して身体を預けられるようになり
首周り、肩周りの筋緊張が和らぎリラックスし脱力します。
後は、重力に任せ、
より好ましい脊柱のカーブを実現しようとするわけですね。
胸から上が円背でなかった頃の、脊柱が伸展した
好ましい姿勢を再現出来るんですね。
そうすると番組の女優さんが言うように
肩から首、頭の形が、立ってる時の姿勢と同じになるので
呼吸がとっても楽になるんです。
この方法は円背の方に限った事ではなく
一般の方にも通用します。
円背でなくても
肩周り後方とマットレスの間に多少なりすき間ができるので
ここのすき間を埋めることが
首周りの筋をリラックスさせる重要なポイントを果たします。
●なぜ肩周りの後ろにクッションを入れると良いのか
————————————————————
例えば30Kgぐらいあるラグビーボール状の物体を
マットレスの上に置いたとします。
この物体を手で押せば多少揺らせますね。
物体とマットレスが接している部分に
前後左右からくさびを挿入したら物体を手で押しても動くでしょうか?
たぶん動かなくなります。
これと同じ要領です。
物体が体幹で、くさびがクッションです。
肩周りにクッションを挿入することで体幹の動きが抑えられ
首と頭部の好ましい姿勢が安定して保持できるようになります。
体幹の動きを抑える、と言っても抑制しているわけではありませんね。
そうすると首の後ろ側は軽くクッションが当たっている程度で
この姿勢が安定して保持できている感覚が分かります。
実は、この首の感覚が枕の快適性に深く関与します。
首と後頭部にコントゥアーされた形状の枕を使用して
何だか首が押されて不快な感じがする。
首に違和感を感じたことはないでしょうか。
首の後ろは必要以上に強く押したり支えたりしてはいけません。
座位姿勢で背筋が伸びるように促す目的のランバーサポートを挿入して
腰椎を無理に押し出すと不快になるのと同じです。
こうした点からも肩周りにクッションのくさびを挿入することは
首へのストレスが減って良いと、私は考えています。
●後頭部を窪みに収めてはいけない
————————————————————
後頭部が枕の窪みに収まると確かに安定します。
ただ、私が今まで枕を使用した感覚から言えるのは
後頭部を窪みに収めると不快感が募り
あまり望ましくないと考えていることです。
なぜそう言えるかというと、
車いす用のクッションでも似たようなことが言えるからです。
車いす用クッションには、
コントゥアーされた座面を持つものがあります。
しかし、お尻の後方はコントゥアーせず
平らである方が快適と感じます。
コントゥアーすることは臀部の接地面を増やし
体圧分散性を高め安定度を高めます。
しかし、人は動くのが当たり前です。
お尻をずっと同じ場所にしておくことはできません。
必ず前後や左右に動かします。
そうした時にお尻後方のコントゥアーが
お尻の後方への動きを抑制します。
お尻を少し後方にずらしても斜面を滑るように
元の位置に戻ってしまうのです。
後ろにずらしたいのにできない。
これはイライラします。
後頭部を窪みに収めるのも私は同じ感覚を覚えました。
枕の中材のビーズを手で動かして
窪みを頭頂部に向けて口が開いているように
かまぼこの切り口のようなU型にするとかなり快適になります。
この辺りは今はまだ私個人の感覚ですので
確かなことは言えません。が、
検証していきたいテーマの一つです。