重量は骨格に支えてもらう【vol.048】

古武術を応用した介護術にもみられるように
「筋肉に負担をかけない体の使い方」を考えた時
一つの答えが浮かびます。

それは「重量は骨格に支えてもらう」です。

●積木のたとえ
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積木が倒れずに高く積まれている状態
これが「重量を骨格に支えてもらっている」状態です。

積木は骨、積まれた積木が骨格です。

上の積木の重量を下の積木が受ける
この連続の上に積木は自立を保っています。

積木は一旦バランスを崩すと立て直しができないので
バランスが傾いた方に倒れてしまいます。

人の体ではどうでしょう。

立位を想像してください。

骸骨だけだとバラバラに崩れてしまいますね^^
でも、人の体は骨を筋肉が覆っています。

筋肉が働いて骨格を動かし上手にバランスをとり
体が倒れないように保っています。

上の骨に乗っかった重量を下の骨で垂直に受けると
筋肉はそれほど体の重さを感じないで立っていられます。

この時の立ち姿が
骨格に重量を支えてもらっている姿勢です。

この時、筋肉は体の重みをあまり感じていませんし
筋肉自体それほど活動しないで済んでいます。

体がわずかに揺らいだ時にバランスを立て直すために働く程度です。

●重量物を床から持ち上げる時の姿勢
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「重量は骨格に支えてもらう」を念頭に置いて
重量物を床から持ち上げる時の姿勢を思い出してください。

理想的な姿勢は、

「上半身をかがめず腰から上を垂直にたて、
ひざを曲げ腰を落とすように構える。

へその真下で物体を抱え、膝を伸ばして
上半身の姿勢はそのままに、脚力で持ち上げるようにする。」

ですね。

腰から上の上半身をかがめないようにすると
骨盤と脊椎が床にほぼ垂直になります。

この状態であれば、物体を持ち上げた時に
椎間板が飛び出すような無理な力はかからず
腰を痛める危険が少なくなります。

そして、

物体を抱えるのは腕
腕から肩を通して物体の重量が脊柱に乗っかります。

脊柱は骨盤の上に乗っかり
骨盤は大腿骨の上に乗っています。

骨盤から下の下肢が、
電車のパンタグラフのように菱形になり
伸び縮みします。

持ち上げる物体を体の真下にすると
物体の重心と体の重心の水平距離が近づきます。
すると骨格に物体の重量を乗せやすい状態ができます。

これが重心を近づける、ということです。

物体を置く位置、骨格の上に骨格を乗せる姿勢
この2つを満足させると物体の重さを骨格に支えてもらいながら
抱え上げることができます。

物体が軽く感じられるとともに
筋肉の使用も少なくて済みます。

筋力の弱い女性でも
少ない力で重い物を抱えられます。

この考えは、「モノ」を抱え上げる時の発想です。

●「重量を骨格に支えてもらう」動きの導きを意識する
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寝たきりの方の介助では
重心を近づけて介助者の体に負担の少ない
介助方法が一般的です。

この考えは「モノ」を抱え上げる時の発想です。

手助けすれば自分で動ける方にこの発想は適しません。

このような方には
「重量を骨格に支えてもらう」
動きを導く介助で臨みましょう。

立位がおぼつかなくなった方の立位介助でも
布団からの起き上がりが自力で困難になった方の
起き上がり介助でも

重量を骨格にうまく乗せてあげる介助、
動きの導きを手助けすると

できなくなっていたことが、またできるようになります。

例えば、普段行っている介助の中にも
重量を骨格にうまく乗せてあげていた介助があります。

ひざ折れしそうな方の膝をサポートするとか。

杖の長さ、手すりの高さ、手すりの位置を
上肢の骨格で体重を受けやすくするように変えるとか。

仰臥位から端座位への介助は
上体を弧を描くように頭の動きを導き
肘を付いて上腕骨に体幹の重みを支えてもらうとか。

これら基本すべてのより所となるのは
「重量は骨格に支えてもらう」です。

それらは自然な体の動きをサポートすることであり
キネステティクの発想です。

実は、

「重量を骨格に支えてもらう」ために、
もう一つ重要な動き体のひねり」があります。

まっ、この話は別の機会に、と言うことで^^

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