床ずれの発赤(ほっせき)と、居眠りで出来たおでこの発赤の違い【vol.051】

床ずれの初期症状である「発赤」。

(DTIタイプの床ずれもあるので
発赤が必ずしも初期症状とは限らない場合もあること
お断りしておきます^^)

発赤(ほっせき)は専門用語。
平たく言うと「赤くなる」ことです。

体位変換やおむつ替えの時
発赤を見つけたら先ずは床ずれを疑いますよね。

で、気になっていたんです。

学生時代の机に突っ伏して居眠りしててできた、おでこの発赤と
床ずれの発赤

何が違うんだろう?

別におでこじゃなくても
肘をふととももに付いて、ずっと体重を掛けていると
太ももに発赤ができますよね。

こうして出来た発赤はしばらくすると消えて元に戻ります。
床ずれの発赤は赤いままです。

以前お世話になったお医者さんと看護師の方に
居眠りしてて、腕がおでこを圧迫して発赤ができますが
どうして発赤ができるんですか?と尋ねました。

そしたら先生も看護師さんもわからないといいます。

「なんて質問するの?!」みたいな感じで
先生も看護師さんも困惑されてました(笑)

私にとっては、ずーっと気がかりで
いつかはまとめよう、と思っていました。

くだらないと思わず、お付き合いください^^
今回まとめてみます。

●床ずれの発赤の正体とは?
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床ずれで見られる発赤は炎症反応です。

「炎症」とは、

ケガをしたり細菌が感染した時、
病原体などの有害物を取り除こうとして起こる
体のいろいろな反応をひっくるめて言います。

いろいろな反応には、発赤の他にも
「熱が出る」「腫れる」「痛む」があります。

なぜ、炎症の起きている箇所は
赤くなって、熱が出て、腫れて、痛むのでしょうか?

炎症が起こると、炎症の元を取り除こうと
白血球が血管から飛び出して行きます。

体内で炎症を感知すると特殊な物質が働き
血管から白血球が飛び出せるようにするのだそうです。

炎症箇所では、
このように血液の成分が血管外に漏れ出る反応が起こるので
「腫れる」現象が起こります。

そして、白血球は炎症箇所に浸透し病原体と戦います。
この時の細菌と白血球との戦いの残骸が「膿(うみ)」です。

更に

病原体と戦っている組織や細胞を助けるため
炎症箇所に酸素や栄養を補給しようとします。

血管が拡張して血流を増加させます。

この時起こるのが発赤です。
発赤の正体は、表皮を通して透けて見えた血液の色でした。

炎症箇所で熱が出る、あるいは体全体の体温が上がる理由は、
体温が上がると白血球の働きは良くなり、逆に
細菌は温度が上がると活動が低下するからです。

その方が病原体との戦いに有利になるので
脳は体温を上げるように指令を出します。

微熱程度なら解熱しないほうが良いと言われるのは
この働きを阻害しないようにするためです。

痛みについては割愛します^^

これで、どうして赤くなるか、熱を持つのか、腫れるのか
わかりました。

炎症を起こしている所は
マッサージなどしなくても血流は十分に行きわたっています。

マッサージなんかしたら炎症を悪化させてしまいます。
床ずれにマッサージは厳禁です!

これからは根拠を持って言えますね^^

●居眠りで出来るおでこの発赤の正体とは?
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答えは良くわかりません。
ネットで検索しても、医学書を探しても
それらしい答えが見つかりませんでした。

大体、こんなことを疑問に思う人はいないのかも知れません(笑)

なので、おそらくこんな理由じやないか、と思う
私の考えを書きます。

赤く見えているのは床ずれと同じく
血の色が透けて見えている、と考えて間違いないでしょう。

なぜ透けて見えるのか…。
そして、しばらくするとなぜ発赤は消えるのか…。
床ずれとの違いはここです。

圧迫され続けたことで、表皮と真皮は潰され、
細胞内の体液やリンパ液がそこだけなくなりペチャンコになったはずです。
また、血液も押し出されてなくなったでしょう。

真皮には毛細血管が多く通っています。

(ちなみに、体の表にあるのが表皮、その後ろにあるのが真皮
その後ろが皮下脂肪、その後ろが筋肉です。)

そして急に圧迫が解放されたことで
そこに血が一気に集まってきた。
表皮がペチャンコにつぶれて薄くなってたので
真皮の毛細血管に流れ込んだ血の色が透けて見えた。

これが発赤の正体ではなかろうかと。

しばらくすると
表皮の細胞内に体液が戻り、膨らんで、元の状態に戻ると
血の色が透けて見えなくなった。

そういうことではないでしょうか^^

おでこの発赤は床ずれの一歩手前の状態。
まだ元に戻れる状態のうちに体を動かしますね。
体はそういう仕組みになってる。

戻れる状態のうちに体が反応しなくなると
元に戻れなくなり床ずれになります。

圧迫の時間が元に戻れる制限時間ギリギリを超えると
圧迫され続けた箇所の細胞は死んでしまいます。

(今は、仮に2時間おきを目安にして
体の反応がみられない方に体位変換を支援してますよね。)

死んだ細胞は体の中にある異物です。
細菌が増殖します。

すると、

病原体などの有害物を取り除こうとして
体のいろいろな反応が起こります。

そう!炎症反応です。

なかなか消えない発赤は
このような段階を踏んで発生するんですね。

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