解答|座位で骨盤前傾・脊柱伸展させる筋肉【vol.066】

答えに入る前に
大事なポイントを2つ、おさらいしておきましょう。

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●ポイント1

骨格を動かしているのは筋肉であり
常に最小のエネルギーで体のバランスを取ろうと
無意識的に反応している。

「最小のエネルギーで」が肝。

特殊な動きの中では、
無理やり、強引に、姿勢を変えてバランスを保つ事もできますが
そうではない自然な反応で、動きで、と言うこと。

骨盤を前傾させた筋肉と
脊柱を伸展させた筋肉は、別物。

だけど、

座位姿勢を保つために
骨盤を前傾させることと、脊柱を伸展させることが
瞬時に、かつ、同時に必要だった。

全てはバランスを保つために起きた
互いに作用し合う複合的な反応である点。

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●ポイント2

筋肉がどのように骨に付いているか

基本的には、間に関節を挟んで
隣り合う骨と骨をつなぐように付いている。

関節を動きの軸としていること。

筋肉は収縮して骨格を動かしていること。

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以上を踏まえてみていきましょう。

骨盤を前傾させ、脊柱を伸展させる筋肉として
代表的な筋肉群が3つあります。

敢えて筋肉群としました。

単体ではなく複数の筋肉が
束になって関係しているからです。

その筋肉群がこの3つ。

1)股関節を曲げる「股関節屈筋」
2)膝関節を伸ばす「膝関節伸筋群」
3)脊柱を伸展させる「背筋群」

順に説明します。

●1)股関節を曲げる「股関節屈筋」
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座位で骨盤を前傾させるためには
両脚をおもりにして、坐骨を座面に立て
骨盤上部を引っ張る筋肉が働きます。

股関節を曲げる・屈曲させる股関節屈筋と呼ばれ、
代表的な筋肉に、腸骨筋、大腰筋、があります。

どちらもお腹の中の方にあるので
インナーマッスルと呼ばれたりします。

腸骨筋は、
骨盤の腸骨と大腿骨の大転子内裏をつなぐ筋肉です。

大腰筋は、
脊柱の腰椎と大腿骨の大転子内裏をつなぐ筋肉です。

大腰筋は、股関節と仙骨の関節をまたいでいますね。
だけど仙骨の関節にはほとんど動きがないので
腰椎を引っ張るとそのまま骨盤が引っ張られるのです。

余談ですが

大腰筋は、走る時の太ももを上にあげる筋肉として働きます。
ウサイン・ボルト選手のようなスプリンターは
大腰筋が特に発達していて、ものすごく太いんですよ。
普通の人の腕の太さぐらいある(笑)

●2)膝関節を伸ばす「膝関節伸筋群」
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座位のまま、膝を伸ばしてみてください。
太ももの表面にぴんと張っている筋肉がありますね。

これが膝を伸ばす・伸展させる筋肉「膝関節伸筋群」です。

代表格に、大腿直筋、縫工筋、があります。

大腿直筋は、
腸骨と膝蓋骨をつなぐ筋肉です。
膝頭にまっすぐ張った筋肉があるでしょ。
この筋肉です。

股関節と膝関節の二つの関節にまたがっていて
特殊な「二関節筋」と呼ばれる筋肉の一つです。

縫工筋は、
腸骨から太もも内側と膝の内側を通って
下腿骨につながる筋肉です。
座位で膝を伸ばすと鼠蹊部にコリコリした筋肉がありますよね
その筋肉です。

大腿直筋も縫工筋も、収縮すると骨盤を引っ張り
骨盤を前傾させる筋肉となります。

●3)脊柱を伸展させる「背筋群」
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先の1)と2)は骨盤を前傾させるのに作用する筋肉でした。
どちらも体の前面にある筋肉群です。

背筋群は体の背面にあり
脊柱を伸ばす・伸展させる筋肉群です。

どれか一つ、と言うには
余りに多くの筋肉が関与しているので
背筋群のままで説明します。

背筋群の多くは骨盤の腸骨、仙骨、腰椎から伸びている筋肉です。
胸椎下部から伸びている筋肉もあります。

脊柱がまっすぐに伸展できるのは
背筋群の働きがあってこそです。

脊柱は前方に胸郭をぶら下げた
くにゃくにゃ曲がる棒なので
脱力すれば容易に前屈します。

だから、

一時も背筋群は緊張を解けません。

そのため、筋肉群でも最も力持ちの筋肉になりました。

お辞儀の姿勢を一分間続けても苦にならないでしょ。

逆に弱いのが体の表側にある腹筋群です。

一分間も上体を後ろに倒したままの姿勢を保とうとしたら
プルプルとお腹が笑ってしまいますよね^^

背筋群がガンバっているから脊柱が伸展する。

背筋群が骨盤の上部を引っ張るので
骨盤も前傾しやすいと言えます。

ここでも余談です^^

背筋群には上肢の付け根につながる筋肉があります。

胸を張ると自然と腕が後方に引かれるじゃないですか。
これはこれらの筋肉が影響してるため。

また、拘縮が進んだ人の腕と背骨をよく見てください。
二の腕を後方に引いて背骨をのけ反らせてますよね。

これも背筋群の短縮による現象。

筋肉の付き方を知ると
なぜこんな姿の拘縮が起きるのかわかります。

筋肉の勉強は役に立ちますよ^^

最後の方は話がずれちゃいました(笑)

骨盤を前傾させ、脊柱を伸展させる筋肉が何か、
ご理解いただけましたね^^

次回はこの逆
骨盤を後傾させ、脊柱を屈曲させる筋肉のお話をします。

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