解答|座位で骨盤後傾・脊柱屈曲させる筋肉【vol.067】
前回は、
骨盤前傾・脊柱伸展させる筋肉の話でした。
今回はその逆の話。
骨盤を後傾させ、脊柱を屈曲させる筋肉として
代表的な筋肉群・3つを挙げます。
1)臀筋群
2)ハムストリング
3)腹筋群
順に説明します。
●1)臀筋群
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お尻の筋肉・臀筋(でんきん)は
立った姿勢を保つには欠かせません。
股関節を伸ばしたり、股を開いたりする筋肉群です。
骨盤の裏、腸骨と仙骨の付け根辺りから
大腿骨の裏側をつなぐ「大臀筋」
ふっくらしたお尻の肉ですね^^
これが股関節を伸ばす・伸展させる筋肉。
それと
骨盤側部、腸骨と大腿骨の大転子部をつなぐ「中殿筋」
太ももを開いたり、ねじったりする筋肉です。
これらが収縮して働くことで
立った姿勢を維持することが可能になります。
座位の時に
大臀筋が収縮するようなことが起こると
股関節を伸展させようとします。
ところが、
大腿骨は座面で抑え付けられているため動けません。
結局は、
骨盤を後ろに倒す、傾ける・後傾させるように働きます。
中殿筋が収縮するような状況では
太ももが開いたり、ねじられたりします。
すると、
股関節を介して骨盤を動かす力が生じ
骨盤を後傾させてしまいます。
●2)ハムストリング
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ハムストリングは太ももの裏側にあります。
その働きは、膝を曲げる、脚をひねる、股関節を伸ばす
などです。
大腿二頭筋・半健様筋・半膜様筋の筋肉群を
「ハムストリング」と呼んでいます。
大腿二頭筋は2つあって
骨盤の坐骨と脛の外側の骨・腓骨上部をつなぐ筋肉と
大腿骨真ん中裏と腓骨上部・下腿骨上部をつなぐ筋肉。
股関節を伸展させ、下腿を外にひねる働きをします。
半健様筋・半膜様筋は
骨盤の坐骨部と下腿骨をつなぐ筋肉。
股関節を伸展させ、膝関節を曲げる、下腿を内側にひねる
働きをします。
ハムストリングが収縮する状況
つまり、ハムストリングを働かせている状況では、
先の臀筋群が働く時と同様、
脚が座面で動かされないので
骨盤が引っ張られ、動かされる現象が起こります。
坐骨を引っ張るので
股関節を回転軸にして骨盤を後傾させてしまいます。
余談です^^
高齢者に多い「拘縮」は
主に筋肉性の拘縮が多いと言われます。
筋肉の柔軟性が失われ、
伸び縮みの動き幅が短くなった「短縮」と言う現象です。
ハムストリングに短縮が起こると
股関節を曲げようとすればするほど
ハムストリングが引っ張って、骨盤を曲げさせまいとします。
だから、容易に骨盤を後傾させてしまうのです。
高齢者の中には、好ましい姿勢と言われる股関節90度が
難しい方が多くいらっしゃいます。
その方のハムストリング短縮の程度を確認しておく必要がありますね。
●3)腹筋群
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体の表側にあるお腹の筋肉群です。
代表格が腹直筋。
仮面ライダーは腹直筋が6つに割れてます。
プロサッカーの日本代表・長友佑都選手は
体幹トレーニングにより腹直筋が8つに割れています^^
仮面ライダー以上です(笑)
今度、長友選手がユニフォームを脱いでるシーンを見かけたら
腹筋に注目してください^^
話を戻して
割れている腹筋、これが腹直筋です。
腹直筋は骨盤の恥骨部と胸郭下部とをつなぐ筋肉。
この筋肉が収縮すると背骨が曲がる・屈曲します。
脊柱は、胸郭と言う荷物を前にぶら下げ
ただでさえ屈曲しやすいのに
腹筋まで働いたら簡単に脊柱屈曲は起こります。
例えば、
腹筋群が働く状況とは、
車いすにずっこけ座りをしている方が足こぎしてる時です。
床に足を強く押し付けるためには
腹筋群を働かせないとできません。
腹筋群に加えて、ハムストリング、臀筋群も働くので
ますます骨盤後傾・脊柱屈曲を助長してしまいます。
以上です。
筋肉って面白いですよね^^
骨盤を後傾させ、脊柱を屈曲させる筋肉が何か、
ご理解いただけましたね^^
▼今回の記事を書くにあたり、下記の書籍を参考にしています。
「3D踊る肉単」原島広至著(株式会社エヌ・ティー・エス発行)