バンク法が使えない箇所【vol.089】
前回ご紹介した「バンク法」は、
高価なポジショニング・クッションを使わず
マットレスの性能を活かした
いわば、ポジショニングの裏テクニックです。
バンク法でマットレスを曲げて
段差ない、なめらかな曲面で体を受けると
体圧が均等になりやすくなります。
フィット感が格段に上がり
心地よい寝心地が得られます。
好ましい姿勢が得られます。
ただ、バンク法を使ってはいけない箇所があります。
そこは従来通り
マットと体の間にクッションを差し込んで
サポートしたほうが良い。
その箇所は、ズバリ
【首から頭】と【坐骨前】です。
▼首から頭は「枕」が有効です。
背中と首と頭、この20数センチの間の凹凸に
マットレスのカーブは対応できません。
マットレスをフィットさせることは不可能でしょう。
円背の方のポジショニングでは
背中に大きなクッションを差し込んで
それでも頭の高さが足りない時は
クッションの下に小枕を入れてかさ上げする
このように推奨されています。が、
この方法は、背中と首と頭のカーブにフィットしません。
ここのカーブにフィット感を求めるなら
小枕を差し込むのは大きいクッションの上です。
大きいクッションと小枕で
敢えて段差を作るんです。
普通に「枕」を作る方が
はるかにフィット感が良くなります。
▼坐骨前は「アンカー」が有効です。
電動ベッドを背上げした状態で
長座位の姿勢が崩れるのは
骨盤が後傾してカーブしたマット上を動くからです。
骨盤の動きを留めるには
マットの上に坐骨が引っかかる「何か」が要ります。
バンク法で作るなめらかなカーブでは
引っかかりようがないんです。
電動ベッドのひざ上げ機能では
骨盤の前滑りを止められないのと同じです。
マットの上に、骨盤をせき止める役目の
出っ張り、クッションが必要で、
このような働きを持つクッション
「アンカー」を坐骨前に挿入するといいんです。
アンカーはシーティング用語です。
アンカーがあるだけで、ないよりは
姿勢が崩れにくくなり安定します。
これでもまだ骨盤は後傾してるので
姿勢は崩れようとし続けます。
骨盤にはアンカーの上を乗り越えようとする
滑る力がずっと発生します。
この滑る力を打ち消して抑えるには
もうひと手間が必要になってきます。
バンク法の応用になります。
仙骨の真後ろ、マットレスとベッドの間に
詰め物をして骨盤前傾を促します。
こうすれば坐骨がアンカーに垂直にあたって
滑る力が抑えられます。
脊柱の伸展も促されるので
好ましい姿勢が得られるんですよね^^
▼頭と坐骨前以外はバンク法が有効です。
是非チャレンジしてみてください^^