認知症発症初期の段階で効果が見られた既存薬【vol.105】

認知症をくい止めろ!の2回目です。

この内容は、

2014年7月20日にテレビ放送された

NHKスペシャル「認知症を食い止めろ」

~ここまで来た!世界の最前線~

を元にお送りします。

「認知症をくい止めろ」はNHK健康ホームページで

 
今回のテーマは、こちら

「軽い物忘れ~認知症発症初期の段階で効果が見られた既存薬」

では参ります。

これまでアルツハイマー病治療の新薬開発では

臨床試験において有効性がみられない薬が

100種類以上あったそうなんですね。

そんな中、2014年

アルツハイマー病認知症の進行を

遅らせる効果のある薬が2つ見つかったんです。

日本で1つ、アメリカで1つね。

だたし、

軽い物忘れ~認知症発症初期の患者であれば

の条件付きなんですけど。

それだって凄いことですよね。

日本からは「シロスタゾール」が

アメリカからは「インスリン」が

アルツハイマー病認知症の進行を遅らせる効果がある

と報告されました。

見つかった経緯は後で説明するとして、

それぞれどんな薬か説明します。

「シロスタゾール」は

血液の流れをサラサラにする効果のある薬。

脳梗塞の再発予防に服用されています。

「インスリン」は

糖尿病患者さんが使う薬。

細胞が糖を上手く取り込めるよう

助ける働きがあります。

すぐにでも認知症治療に使いたいところですよね。

ところが、残念なことに

2つともすぐには治療に使えないんです。

なぜかと言うと

認知症治療薬としての臨床試験はされておらず

別の病気の治療薬として認可された薬だから。

仕方ないですね。

認知症治療に使ったらどんな副作用が出るか

安全性を確認しないままでは使えません。

臨床試験はこれからです。

番組内では東京オリンピックの2020年には

使えるようになっているだろう(あくまで予測)

と言ってましたね。

では、ここからは

2つの薬が見つかった経緯をご紹介します。

先ず、

日本で見つかった「シロスタゾール」から。

淡路島の高齢者の中に

明らかに認知症の進行が遅い人たちがいて、

この人たちに共通していたのは

「シロスタゾール」を服用してることだったんです。

番組内では

5年前に軽度のアルツハイマー病認知症と診断された

女性が紹介されてました。

味噌汁にミソが入ってないよってご主人が言うと

奥さんがいぶかしげに味噌汁を一口

「ほんまやな」

これには思わず吹いてしまいました(笑)

5年経った現在、普通なら、

身の回りのことを一人ではできなくなってる頃です。

それなのに

5年前と変わらず台所仕事をしています。

認知機能を調べても

5年前とほとんど変わっていない。

低下してなかったんです。

それで、1年かけて

軽度のアルツハイマー病認知症患者80人の

認知機能の低下状況を再調査したところ

シロスタゾールを服用している人は

服用していない人と比べて、1年後

認知機能の低下が80%抑制されていることが判明。

この発見が今年2014年の2月のことですよ。

ごく最近の事なんです。

じや、どうしてシロスタゾールが効いてるのか?

そこですよね。知りたいのは。

シロスタゾールは、

脳の血管の壁の中に溜まっていた

アミロイドβなる物質を排出する働きも

果たしていたんです。

これが進行を遅らせることができている理由でした。

アミロイドβは、脳の神経細胞が働くと

発生する老廃物なんですね。

普通は血液に排泄されるんですね。

これがアルツハイマー病になると

脳内のアミロイドβの量が増え続け

排出しきれなくなてきます。

排出しきれない分は

血管の壁の中に溜まっていくんです。

そうなると血管が破れ、

栄養と酸素が行き届かなくなった神経細胞が死滅。

認知症を悪化させていたんです。

シロスタゾールは

血管を刺激して血管の筋肉を活発にします。

(血管にも筋肉あるんですよ^^)

その時に血管の壁の中に溜まっていた

「アミロイドβ」を取り除いて

血液に排出してくれていたんです。

血管が破れることもなくなったので

認知症の悪化も抑制されていたんですね。

Follow me!