電動ベッドも変わってきたぞ【vol.111】

10月1日~3日に開催された

国際福祉機器展HCR2014レポート第3回。

今回は『在宅介護用電動ベッド』を取り上げます。

大きく変わってはないんですが、

それでも、少し変わってきたな、と感じます。

あくまで私の見解です。

近年の仕様で変わってきたな、と感じるのは

次の3点。

1)ほとんどのメーカーで垂直昇降機能を採用

2)最高床面高が上がった

3)チルト機能が付いた

一つずつ見ていきましょう^^

▼ほとんどのメーカーで垂直昇降機能を採用

私の記憶が正しければ(笑)

在宅介護用ベッドで垂直昇降機能をいち早く採用したのは

プラッツさんのベッドだと思います。

その次がパナソニックさんで

その次がパラマウントベッドさん

だと思います。

そして今回、シーホネンスさんも

10月に発売を開始した和夢「彩」で搭載しています。

それまでの昇降機能は

ベッドが前後に移動しながら上下したので

移動量分、余裕をベッド周りに取らないといけなかった。

ベッドの頭側と足側は壁から

15cm位離して設置してたんです。

でないと、壁とか家具にベッドをぶつけて

壊したり、傷つけたりしてたんです。

お部屋もそんなに広くなかったりして

この余裕分ベッドが場所を広くとるので

余計に部屋が狭くなってましたよね。

それで、前後に移動しない

垂直に上下する昇降機構が出てきて

壁や家具にピタッと寄せて設置できるようになったんです。

30cmx90cm位ベッドの占有スペースが

少なくなってると思いますね。

壁や家具を傷つける心配もなくなりました。

勿論、ベッドも同じです。

今回、シーホネンスさんが和夢「彩」を発売したことで

ほとんど全てのメーカーさんのベッドが

垂直昇降機能を標準採用したことになります。

歓迎すべきことだと思いますよ。

▼最高床面高が上がった

これも昇降機能に関係します。

ベッドの高さを最高まで上げた時

その高さが高くなりました。

これまでに比べ5cmは高くなっています。

マットレスを乗せない状態で

シーホネンスさんの和夢「彩」は67.5cmあり

現在、業界最高です。

パラマウントベッドさんの新商品楽匠Zだと64.5cm。

これに実際にはマットレスが乗りますので

最低でもプラス8cm以上にはなります。

つまり、

最高でシーホネンスさんは75.5cm

パラマウントベッドさんは72.5cm

になります。

この高さがどの程度かと言うと

身長178cmの私が大きく腰をかがめないで

ベッドに寝た人の体位変換が出来る状態です。

この高さでも多少腰を曲げないとダメですが

以前から比べたらはるかに腰を伸ばした姿勢で介助ができます。

やっと、ここまで高くしてくれましたね(笑)

欲を言えばもう少し高くして欲しいかな。

スエーデン製のコンフォートベッドは

マットレスなしで最高75cmまで上がります。

マットレスを乗せれば83cm以上です。

私以上の身長の人は

これぐらいの高さまで上がって欲しいところです。

▼チルト機能が付いた

チルト機能はベッド全体が傾く機能です。

車いすにはついてるタイプもあるのでご存じですね。

今現在、この機能を持っているベッドは

パラマウントベッドさんの楽匠Zだけ。

背上げ、ひざ上げ、チルトを自動調節してくれる

ラクリアモーションとセットになってます。

この機能の良いところは

背上げをした時の身体のずり落ちが少なくなること。
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ずり落ちが少ないので臀部・仙骨部への圧迫が軽くなり

床ずれ発生リスクが下がるメリットも生まれています。

他には、

・足元が下がることで視界が広がる

・ベッドから脚をおろしやすい

・上体を起こしやすくなるので食事もとりやすい

などのメリットがあります。

背上げ角度が少なくてもチルト併用することで

見かけ上背上げ角度を大きくできる。

そのおかげです。

背上げ時の背中からお尻、脚への圧迫は

背角度30度あたりを超えると強くなります。

なので、背角度30度までに抑えながら

チルトして背角度を大きくするこの機能は

圧迫を軽くするにはとても有効になります。

背抜きを十分にしてもらえなくても

寝てる人の身体への負担は軽くなりますからね。

寝たきりの方にも有効な機能だと思います。

それでも背抜きは絶対に欠かせませんのでしてくださいね。

チルト機能が付いたベッドは

外国製では既にありました。

やっと、国産ベッドにも付いたか、

そんな思いです^^

▼今後の課題、欲しい機能

何といってもロングサイズです。

年々平均身長が高くなっているのに

ヘッドの長さは未だ長さ191cm前後のまま。

変わっていません。

和布団の敷布団も掛け布団も、

2000年には長さ200cmから210cmへ

標準が変わっていると言うのに。

私がベッドに寝て背上げをすると

足がベッドの足側の板に当たります。

身長170cm以上の人は必ず当たりますよ。

オプションで延長フレームなる物をセットすれば

205cm位までは対応できるように

各メーカーさんは対応してくれてはいます。

でも、伸びた分の隙間を埋めるマットレスが

いかにも付け足し感丸出しでかっこ悪いんですよ。

エアマットレスを乗せようものなら

隙間埋めのマットレスにエアマットはなく

普通のウレタンマットをはめるだけ。

しかも厚みも全く合わない。

マットレスのサイズもロング対応が標準化されないと

無理なところもあるので

業界全体でロングサイズの標準化を切に望みますね。

次回もHCR2014レポートは続きます。

▼今回の記事で紹介したベッド

楽匠Z(パラマウントベッド)はこちら

和夢「彩」製品の特長(シーホネンス)はこちら

コンフォートベッド(スウェーデン)はこちら

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