選択肢は増えたのか?【vol.112】

10月1日~3日に開催された

国際福祉機器展HCR2014レポート最終回、

第4回です。

今回は『選択肢は増えたのか?』です。

直接、福祉用具と関係ないのかもしれません。

私がHCR会場で感じたことが

何かしらお役に立てば幸いです。

福祉用具の選択肢が増えたな~と感じます。

まー、喜ぶべきなんでしょうけれど。

同時に、選びにくくなったな~

とも思うんですよ。

どれも似たり寄ったり。

違いが分かりにくい。

選択肢は本当に増えたんでしょうか?

選択肢の数で言うと6つの中から選ぶのが

一番選び易く満足感も高くなるといいます。

選択肢が多すぎる状況は

相手に最も安易な選択をさせてしまう。

選ばないと言う選択です。
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このあたりの「選択」に関する研究は

こちらの本をご一読ください。

▼『選択の科学』

シーナ・アイエンガー著、櫻井祐子訳、文芸春秋発行

冒頭の福祉用具の選択肢が増えたな~、

そして、選びにくくなったな~

に戻ります。

違いが分かりにくい商品が増えました。

例えば、スライディングシート。

移動・移乗で使用するツルツル滑るシート。

現在、国内で発売されているシートは

こんなにあるんですよ(笑)

・トレイージー(東レ)

・移座えもんシート(モリトー)

・ラクラックス(帝健)

・ノルディックスライド(パシフィクサプライ)

・介助らくらくシート(ウィズ)

・トランスファーシート(ウィズ)

・マルチシート(ラックヘルスケア)

・スマイルシート(タイカ)

・スライドシート(パラマウントベッド)

・スライディングシートMSS(モルテン)

・移乗サポートシート(リブドゥ)

・するーと(移動・移乗技術研究会)

計12商品。

この他にも何種類かあるようです。

販売してる当人が言うのも変ですが

種類多すぎでしょ(笑)

『選択の科学』の本によれば

選択をあきらめる状況を作ってることになる。

メーカーさんには悪いですが、

汎用性の低い特殊な用具に

こんなに種類はなくていいんじゃないの?

個人的にはこう思いますね。

2008年12月、

私が北欧式トランスファー講習会に参加した当時

スライディングシートは

商品自体が少なかったんです。

福祉用具のカタログで探しても

トレイージー、マルチシート、ラクラックス、

それからノルディックスライドの4商品が

掲載されている程度でした。

価格差が大きかったので

選択肢としては不満がある反面

選びやすかったのは事実です。

価格で選べばよかった。

その後、安価なシートが次々発売されまして

どれを選べばいいの?と思うほど

違いのないシートが溢れました。

滑り具合いの違いは感じにくい。

機能に大差はない。

ハッキリとわかる違いは色と価格ぐらい。

この状況はお客様を混乱させ

選びにくくさせてしまってる気がする。

スライディングシートは

今そんな状況にあると感じています。

似たような状況が

ポジショニングクッションや

車いすでも起きてると思いますね。

ポジショニング、シーティングの

重要性の啓蒙が進んだおかげで

メーカーさんもごぞって新商品を発売。

似たような商品が乱立しています。

私のような売り手がしないといけないのは

お客様の選択に掛ける時間を節約すること。

そのためには、

お客様を混乱させない。迷わせない。

違いを分かりやすくする。

「私は沢山の選択肢の中から最適なものを選んだ」

という満足感を感じてもらう。

ネット販売だからこそ余計に手を抜けません。

選択肢が増えたと感じていただけるように

商品の魅せ方を改善し続けないと。

HCRを終えて、こんなことを感じました。

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