上肢をどのようにサポートするか【vol.132】

座位姿勢を考える時

上肢は体幹にぶら下がる「おもり」です。

試しに

両腕を誰かに持ってもらってください。

身体がすごく軽くなりますから^^

車いすに座って

好ましい座位姿勢を維持する上で

上肢をどのようにサポートするか。

二回に分けてまとめます。

今回はその一回目です。

上肢の重量は常に体幹を前屈させようとします。

この力に反するため

体幹固定筋は働き続けないといけません。

背もたれを良くするだけでは足りません。

この「おもり」をどのようにサポートするかも併せて

検討する必要があります。

ここで質問です。

▼上肢の重さはどれ位あると思いますか?


答えです。

上肢の重さは、片方で

全体重の約8%になります。

体重60Kgの方だと4.8Kgです。

両上肢で9.6Kg(=4.8Kgx2)。

約10Kgのおもりが

常に体幹にぶら下がっていることになります。

けっこうな重量ですよね。

体幹固定筋の疲労により

姿勢が前屈してしまうのは当然です。

上肢の重量が体幹にぶら下がらないようにする。

ポジショニングのテクニック的に言うと

「上肢の重量を他に移す」。

これが前屈予防のポイントになります。

▼ひじ掛けとテーブルの役目

前屈を予防する点では

ひじ掛けとテーブルには二つの役割があります。

一つは、上肢の重量を受け持つこと。

もう一つは、つっかえ棒としての役割です。

重量を受け持つ、については

特に説明も要らないでしょう。

つっかえ棒の役目とは

過度の前屈を抑えるだけでなく

体幹の重量を分担し

体幹固定筋の負担を軽くする働きです。

テーブルやひじ掛けにひじをつくと

坐骨にかかる圧が下がりますからね。

座る行為において

ひじ掛けがあること

テーブルと共にあることは

体幹固定筋の疲労を軽減する上でとても重要です。

ひじ掛けもなくテーブルもない椅子に座らされて

一時間の講義を受けることを想像してください^^

私はぞっとします^^

たとえひじ掛けがあっても

たとえテーブルを前にして座っていても

先の二つの役割を果たしているとは限りません。

面積が小さすぎたり

高さが高すぎたり、低すぎたりしていては

二つの役割は果たせない。

座位姿勢は取り巻く環境の影響を受けています。

▼環境が整ってないままで姿勢を何とかしようとしている

現実的にはこの場合がほとんどですよね(笑)

上肢をどのようにサポートすべきかについては

二つの役割が発揮できるようにすることです。

何かに重量を支えてもらって

時にはつっかえ棒になって体幹固定筋の負担を軽くする。

既に気付いていると思いますが

この二つをするには何かしら道具が必要になります。

次回、車いすの座位姿勢で

上肢をサポートする道具についてまとめます。

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