頭部を支える枕のポジショニング方法【vol.142】

仰臥位でのポジショニングです。

お尻から上、頭にかけてのポジショニングです。

今回も「枕」がテーマです。

安楽さとリラックスを提供するための支え方、

頭部を支える枕のポジショニング方法、を取り上げます。

安楽さとリラックスを提供する、

これはポジショニングの肝ですね。

ポジショニングの肝は二つです。

1)高さ

2)重量をクッションに移す

先ず「高さ」から行きます。

▼適切な枕の高さは?
会話が出来れる方であれば難しいことではありません。

問題なのは、

意思の疎通がままならないことです。

どうやって

その方にとっての適切な枕の高さを

確認すればいいでしょうか。

いいとか悪いとか反応してくれませんので

こちらが判断するしかありませんよね。

これには目安があります。

枕の高さは、横寝(90度側臥位)をした時に

首のラインが水平になる状態が良い。

と言われます。

絵にするとコレ↓

首(頸椎)
│↓
───+──●←頭
│  ■←まくら
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
↑マットレス

理由は、寝返りして横寝になった時も

この状態が好ましい姿勢だからなんだそうです。

この高さに調節してから仰臥位にし

しばらくの間、呼吸状態を観察します。

観察ポイントは二つ

1)呼吸が苦しそうではないか

2)首周りの筋肉が緊張していないか

呼吸は鼻息音で善し悪しの判断が付きます。

筋緊張は、首の触診をすれば分かりますよね。

とりあえずこの高さで様子を観て

問題がなければ続ける、でいいと思います。

高さが決まったら次は

頭の重量をクッションに移す、です。

▼頭の重量をクッションに移す
頭は首で体幹に繋がっています。

先ず、

頭と体幹を切り離します。

頭の重量を切り離すの意味ですからね^^

頭が宙に浮いている状態を目指します。

首でつながっているんだけれども

首にはほとんど負荷が及んでいない状態を目指します。

この状態を目指すと

首から肩周りにかけての筋緊張が緩みます。

この状態を得るためには

枕で頭~首~肩周りを全体的に支えることです。

▼では、具体的な支え方に入ります。
肩周りから行きます。

肩口とマットレスの間には隙間があります。

ここに枕の端を楔にして差し込みます。

これで首の根元が安定します。

次は首です。

首は前湾していますので

無理に後方から圧力を加えてはいけません。

過度に枕の高さを出してはいけない部分です。

首の自然なカーブに沿う枕の形をつくり

強く押さない程度に支えます。

指がすんなり入る程度の接触で十分です。

最後に頭です。

頭は平面にそっと乗っている程度にします。

過度に窪みを作りその中に後頭部を収めてはいけません。

後頭部のもっとも突き出た部分より上(頭頂部側)を

過度にコントゥアーすると

不快感が発生し、顎を引く力と動きを誘発します。

これは呼吸をしにくくし

首の筋緊張を高めるのでよくありません。

後頭部のもっとも突き出た部分より上はフリーにします。

枕が頭に当たってない状態が理想です。

イメージとすればこんな感じでしょうか。

過度なコントゥアーが

中華鍋の様な局面で後頭部を支えているとするなら

理想の支えは、

中華鍋を半分に割った形で後頭部を支えている状態です。

このような後頭部の支え方をすると

実際の後頭部の支持ポイントが

後頭部のもっとも突き出ている部分より

少し下(体幹側)になります。

ここに支持ポイントが来ると

頭が上を向くような力が適度に作用します。

この力は首の伸展を促し

呼吸をしやすくしてくれます。

座位の脊柱伸展を促す支持ポイント

第10・11胸椎の支持と同じ要領です。

▼まとめです。
ここまでを整理しましょう。

枕の高さは、

側臥位で首のラインがマットレスと水平になる程度。

枕の支え方のポイントは、

肩口に楔を入れて体幹を安定させること。

首は自然なカーブのまま緩く支えること。

後頭部は中華鍋を半分に割ったような形で支えること。

以上です。

取り立てて書きませんでしたが

頭と首と体幹は、

捻じれ、傾きのない状態にしてくださいね。

両肩を結ぶラインと

両耳を結ぶラインが平行であること。

この二つのラインと脊柱が垂直になることです。

仰臥位が好きではない人は

多少顔が横向いて捻じれがあった方が

呼吸が楽に出来る場合もあります。

その方を注意深く観察しましょう。

Follow me!