シーティング「矢状面から観た骨盤と脊柱の反応とは」【vol.160】

シーティング第一章「人の身体のこと」第6回目です。

 

座位時の

頭部と骨盤と脊柱の反応をみていきます。
骨盤と脊柱の3つの反応
1)前額面から観た反応

2)矢状面から観た反応

3)水平面から観た反応
今回は、

2)矢状面(しじょうめん)から観た反応

について説明します。
矢状面は、身体を横から観た面です。

▼頭部の反応
頭部は、前額面と同様

基本、脊柱の上で水平を保とうとします。

顔が正面を向きますね。
/////││

│─
│●
/    ←正面を向く
└─┐

└─┐
┌─┘

└───┐

顔が正面を向くこの状態は、

脊柱の上で頭部のバランスを保ちやすい

首周りの筋肉がそれほど頑張って働かなくても

バランスが保てる状態です。
リラックスして

楽に頭が支えられる状態です。

▼脊柱と骨盤の関係性
脊柱と骨盤は対で反応しますので

セットで覚えましょう。

2つの反応があります。
1)「脊柱の屈曲」と「骨盤の後傾」

2)「脊柱の伸展」と「骨盤の前傾」
です。

絵にすると以下のイメージです。

背もたれに寄りかからない座位でのことです。

 


│←頸椎
\←胸椎


│  ←「脊柱の屈曲」
重心→●  │

/←腰椎
│\ /
│ \
│  \
└─── ←「骨盤の後傾」

│←頸椎
\←胸椎


重心→●/   ←「脊柱の伸展」


│←腰椎

────
\  / ←「骨盤の前傾」
\/

 

このような反応は、

重心●のバランスをとるために起こります。

▼骨盤は構造的に後ろに倒れやすい(後傾しやすい)
座位で上半身の体重を支えているのは

実質、2つの坐骨です。
坐骨が作る支持基底面は極細の長方形なので

骨盤は前後にふらつきやすい状態です。
大腿部が支持基底面として

上半身の支えに貢献はしているものの

股関節が動きますので

骨盤を完全に固定する役目としては

力不足なんですね。

 

大腿骨・骨盤・脊柱をつなぐ筋肉で

しっかりと固定しない限り

骨盤の動きがロックされることはありません。
筋肉を脱力したり

筋肉が疲労すれば

骨盤は簡単に動いてしまいます。

 

ほとんどの場合、後ろに倒れます(後傾します)。
前には障害物(大腿部)があることと

骨盤の後方に脊柱が付いていますので

もともと後傾しやすい構造にあります。

 

私たちは脱力したり疲労すればすぐに

「脊柱の屈曲」と「骨盤の後傾」の姿勢になります。
「脊柱の伸展」と「骨盤の前傾」の姿勢は

頑張り続けないと続かない姿勢なんです。

▼スリングシートの影響
もともと骨盤が後傾しやすい上に

座面が不安定なシートであれば

骨盤の安定は容易ではありません。

 

試しにやってみてください。
本をテーブルに立てることはできますが

スリングシート座面に立てることは難しいはずです。
ぐらつくスリングシート座面の上で

骨盤を起こして動きをロックし続けることは

更なる持久力勝負になります。

 

何時間も骨盤を後傾させずに座り続けることは

無理なことなんだ。

と思ってください。

 

と、

ここまでは背もたれに寄りかからない座位の話。

 

実際には

背もたれに寄りかかっている座位がほとんどです。

 

「脊柱の伸展」と「骨盤の前傾」の姿勢を理想としつつも

背もたれに寄りかかったた座位では

簡単に骨盤の後傾が起こります。

 

肝心なのは

骨盤後傾を大きくさせないことであり

脊柱屈曲を大きくさせないことです。
顔が正面を向いていて

首周りの筋緊張が生じない姿勢です。

 

そのために色々な姿勢づくりのノウハウがあります。

 

そうしたノウハウを実施しつつも

日々、座位姿勢の良し悪しの確認が必要です。
好ましくない座位姿勢が見られれば

すぐに対処することが必要です。
最後に

矢状面における座位姿勢のチェックポイントを

まとめておきます。

▼座位の矢状面におけるチェックポイント、3つ。
1)顔が自然に正面を向いていること

2)頸椎に過度の前湾がないこと

3)仙骨の後ろに隙間がないこと
座位姿勢を矢状面から観る時は

顔と頸椎と仙骨裏

この3点をチェックしましょう。

 

顔が正面を向いていて

自然な頸椎の湾曲であれば

脊柱は伸展気味にあると言えます。
脊柱の伸展と骨盤の前傾はセットです。

しかし、仙骨の後ろがフリーな状態だと

骨盤は後傾しやすくなります。

それが脊柱にも影響します。
骨盤が後傾しようとしても

後ろに支えがあれば必要以上の後傾は起こりません。

そうすれば脊柱屈曲も少なくて済みます。
次回は、

骨盤と脊柱の反応、3)水平面から観た反応です。

Follow me!