シーティング「姿勢が身体と心に及ぼす影響とは」【vol.170】

シーティングの3要素

第一章「人の身体のこと」第16回目です。

 

今回は、

「姿勢が身体と心に及ぼす影響」

についてです。

▼姿勢にとって悪いのは…
「良い姿勢」とか「悪い姿勢」とか耳にしますが
断っておきますと、

姿勢に「良い」も「悪い」もありません。

 

これまで何度も言っているように

どんな姿勢もアリです。

短時間ならば。

 

同じ姿勢でい続ける状況が良くない。
姿勢にとって悪いのは

同じ姿勢を続けること。

 

一般に言われる「良い姿勢」でも

そのまま何時間も同じ姿勢を続けたら身体に悪い。
姿勢を変え続けること

身体を動かすことが本来あるべきことです。

 

それでも

身体に良い影響を与える姿勢と

身体に悪い影響を与える姿勢は

確かにあります。

 

身体に良い影響を与える姿勢は

心にも良い影響をもたらし、
身体に悪い響を与える姿勢は

心にも悪い影響をもたらします。
また、

心が身体に影響を与える、逆もあります。

 

姿勢と心は

間違いなくつながっています。
良い影響をもたらす姿勢を

「好ましい姿勢」と呼び
悪い姿勢をもたらす姿勢を

「好ましくない姿勢」と呼ぶことにします。

 

ここは座位の話なので

「好ましい座位姿勢」と「好ましくない座位姿勢」の

身体と心に与える影響の違いについてまとめます。
先に

好ましくない座位姿勢から行きます。

▼好ましくない座位姿勢が【身体】に及ぼす影響
好ましくない座位姿勢の特徴を挙げます。
・顔がうつむいている

・背中が曲がっている、猫背

・坐骨と尾骨の3点座り
典型的な

脊柱屈曲・骨盤後傾の姿勢です。

 

この姿勢は

身体の前方を押し潰して圧迫し

身体の後方を強く引き伸ばしています。
身体はどんな影響を受けているでしょうか。

 

先ず

圧迫される身体の前方が受ける影響を

列挙します。

 

◎顎と喉が圧迫されて

・食べ物を噛み砕きにくくなる

・声が出しにくくなる

・飲み込みが出来なくなる

・咳が出来ない

・呼吸がしにくくなる

 

◎肺が圧迫されて

・肺活量が下がる

・喚起量が減る

・咳込みの反射がしにくくなる

 

◎心臓が圧迫されて

・十分な血液が送れなくなる

・心不全の可能性が高まる

・血流障害が起きやすくなる

 

◎胃や腸の消化器が圧迫されて

・容量が狭まり食欲が低下する

・消化のための運動が十分行えず消化不良が起こる
次に、

強く引き伸ばされる身体の後方が受ける影響を

列挙します。
・筋肉と腱の柔軟性が失われる

(伸びきったゴムのようになる)

・そのために脊柱伸展する能力が失われる

・痛みが出る
こんなところでしょうか。

 

脊柱も影響を受けます。

・頚椎がストレートネックになる

・円背になる

・腰椎の前湾が失われ真直ぐになる

こうなったら脊柱伸展は無理。円背が進む一方です。

・脊柱の関節可動域が狭くなる→拘縮へつながります。

・椎間板ヘルニアになる

 

他には

・脳が酸素不足になりボーっとする

・膀胱が圧迫されて失禁しやすくなる

・下肢にむくみが生じやすくなる

・血流が悪くなり手足が冷える

・視界が狭くなる

・腕が上がらなくなる

 

これらはほんの一部ですが

こうした影響が見られるようになります。

▼好ましくない座位姿勢が【心】に及ぼす影響
心はどんな影響を受けるでしょう。
試しに、うつむき顔で

脊柱屈曲・骨盤後傾の姿勢をとってみましょう。

 

どんな気分ですか?

 

明るい気分はしませんね。

 

ほとんどの方は

暗く落ち込んだネガティブな気分になります。
他には

・弱々しい

・消極的

・生気がない

・抑圧されている

・自信がない
などの気分を味わうことになります。

 

好ましくない座位姿勢を続けたらどうなるか

考えただけでも恐ろしくなりますね。
さてさて、

続いて
好ましい座位姿勢が身体と心に及ぼす影響です。

 

勘の鋭い方はもうお分かりと思います(笑)
好ましい座位姿勢は

好ましくない座位姿勢がもたらす影響とは

正反対の影響を身体と心にもたらします。

▼好ましい座位姿勢が【身体】に及ぼす影響
好ましい座位姿勢の特徴を挙げます。
・顔が正面か、やや上を向いている

・背すじが伸びている

・骨盤を立て坐骨で座っている
典型的な

脊柱伸展・骨盤前傾の姿勢です。

 

臓器はその働きを十分に発揮できます。

筋肉や腱も柔軟性を損なわずしなやかです。

脊柱も可動域が十分に確保されています。

視界は広がり

腕の自由度が確保されます。

 

本来の働きが発揮できる環境にある。

このような状態を「機能的」と呼びます。
好ましい座位姿勢は身体を機能的にします。

▼好ましい座位姿勢が【心】に及ぼす影響
ポジティブな気分を引き出してくれます。
・イキイキする

・快い

・気分が晴れやかになる

・開放的になる

・力強い

・健康的になる

・自信がでる
などの気分を味わうことができます。

意欲的になって集中力が増す傾向が強くなる。
「空元気」は真理ですよ。

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