シーティング「ユーザーに合った車いす主要寸法の導き方」【vol.174】
ここまで
シーティングの3要素
第一章)人の身体のこと
第二章)人と車いすの寸法関係のこと
第三章)人車一体となった操作性のこと
についてシリーズで取り上げてきました。
前回で第一章は完結しまして
今回から第二章の
「人と車いすの寸法関係」に入ります。
第二章で掴むことは、これです。
『ユーザーに合った車いす主要寸法の導き方』
です。
表向き「主要寸法の導き方」という
ノウハウの話に見えて
その実は
その寸法が姿勢にどう影響するかと言う
裏テーマを持っています。
(これを最初にばらしたらいけませんね^^)
「なぜその寸法なのか」
理由を知ってるか・いないかで
全く違った車いすを選択することになります。
それは、つまるところ
望んだことが出来るか・できないかにつながってきます。
さて、
能書きはこれくらいにして
さっさと中身に入りましょうか(笑)
▼ユーザーの身体寸法確認
カタログで車いすの寸法を眺める前に
ユーザーの身体寸法を確認します。
確認するのは以下の5箇所。
・座位臀幅(ざいでんぷく)
・座位肘頭高(ざいちゅうとうこう)
・座位腋下高(ざいえきかこう)
・座底長(ざていちょう)
・座位下腿長(ざいかたいちょう)
言葉より図解です。
それぞれどこの寸法を指しているか
こちらのイラストで確認してください。
▼身体寸法の測定方法
測定方法には2つあります。
1)座位姿勢で測定する方法
2)仰臥位で測定する方法
自力かまたは誰かの支えがあれば
座位が可能な方なら
1の座位姿勢で測定します。
1が無理な方は
2の仰臥位で測定する方法で測定します。
仰臥位のまま
誰かが股関節と膝関節、肘関節を曲げ
90-90-90の形を作って測定します。(下図)
↓ ↓ ↓ ↓
足
┗━━━━━膝
┃
┃
┃
┃
┃
骨盤━━━━━━━━頭
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マットレス
関節に可動域制限がある時は
無理なく屈曲できる状態で測定します。
ここで問題なのは
腰が曲がっていたり円背の強い方です。
このような方は
座位姿勢で脊柱伸展は出来ませんし
仰臥位も難しいです。
その時はベッドの背上げ機能やクッションで
無理のない仰臥位を保持して測定します。(下図)
↓ ↓ ↓ ↓
足
┗━━━━━膝
┃
┃ 頭 /
┃ / /
┃ / /
┃ / /背上げ
骨盤━━━━/ /
━━━━━━━━━━━━━
マットレス
▼身体寸法から車いす主要寸法を求める
測定した身体寸法を元に
車いすの主要寸法を求めていきます。
車いすの主要寸法は以下の6箇所です。
1)座シート幅
2)座シート奥行き
3)背もたれの高さ
4)肘掛けの高さ
5)座面の前座高
6)フットサポートの調節範囲
各部の寸法の求め方は以下の通りです。
1)座シート幅
※スカートガードが内付けの時は
→(座位臀幅+5cm)
※スカートガードが外付けの時は
→(座位臀幅+2~3cm)
2)座シート奥行き
→(座底長-5cm)
3)背もたれの高さ
→(座位腋下高-10cm+クッション厚)
※リクライニング機能・チルト機能が必要な方はこの限りではない。
4)肘掛けの高さ
→(座位肘頭高+2cm+クッション厚)
5)座面の前座高
→(座位下腿長+5~10cm-クッション厚+靴底厚)
※足漕ぎする方の前座高は
→(座位下腿長-クッション厚+靴底厚)
6)フットサポートの調節範囲
→(座位下腿長-クッション厚+靴底厚)が可変幅内にあること。
詳細の説明は次回にします。