わくわく直観堂の草野博樹です。
初回のテーマは、「背上げらくベッドの体験と考察」、です。
『背上げ時にズレたご利用者の姿勢を直す「 背抜き 」 介助を軽減するベッド、背上げらくベッド』 を実際に私が体験しましたので、私なりの考察をしました。
背中に生じるツッパリ感は従来のベッドから比べて軽減されています。寝ている方の苦痛を軽減する効果もありそうです。フランスベッドさんの苦労が伺えるベッドに仕上がっていると感じました。その中でも私がこんな感じだともっといいのになと思う点を2つ挙げさせていただきます。。
一つは専用マットレスではなく、汎用性があってどのマットレスでも利用できる方法だと利用者は便利かな。
介護ベッド利用の方は少なからず床ずれ予防効果のあるマットレスを利用していますが、このベッドに使用できる他社さんのマットレスが無いですよね。メーカー純正部品でないと合わないという既得権益を介護では無くして、標準化が図れると素晴らしいですね。利用者にとってこんなに素晴らしいことはないと思います。
二つ目は「 背抜き 」をしなくていいのだと勘違いされないか心配かな。
寝ている方の感覚が今までより、少しは、苦しまずに背上げが出来るようになると思いますが、やっぱり背上げ後、背下げ後のツッパリ感は残ります。「 背抜き 」介助をしてほしいと思いました。メーカーさんの意思とは関係なく、言葉だけが独り歩きすることはよくあるので、このベッドとマットレスを利用すれば「背抜き」をしなくてもいいんだと勘違いする方がいるのでは?と思いました。
私なりの解釈で「 背上げらくベッド 」の構造をご説明します。間違っていたらご指摘いただくとありがたいです。
左の写真を見てください。背上げ用床板にある2本の黒いベルトが装着されています。このベルトはキャタピラのように動きます。ベルトはマジックテープが付いていて、ここにマットレスの裏面が張りつくようになっています。背上げをしていくと、このベルトが動きマットレスを頭側に引っ張り上げます。こうすると、マットレスが背中を押しつぶすような違和感が軽減されます。同時に腹部の圧迫感をも軽減する仕組みです。
どうしてマットレスを引っ張り上げる仕組みなのか?
次に、私がメーカーさんの意図を解説してみます。
右の挿し絵をご覧ください。背上げや背下げが可能なベッドに寝ている方を、その機能( 背上げや背下げ )を使って起こすと 「 屈曲部において、マットレス表面長の変化と寝てる方の身体背面長の変化が逆になってしまう 」 現象が起こります。この現象が起こるので体のずれが起こります。
背上げをすると、マットレスの表面長 ( 身体と接触している面の長さ ) は縮むけれど、マットレスと接触している身体の背面長、臀部の長さは伸びるのです。背上げをするとマットレスと人の身体は全く逆の変化をするのです。もともと同じ長さだったものが、背上げ・背下げをすると互いに逆に変化しするので身体がずれます。
だったら、マットレスを引っ張って伸ばせば身体の伸びに連動するので長さの差が起こらず、身体のずれも発生しないと考えたのではないでしょうか。
私が実際にベッドに寝てみて感じたのは、「 それでも身体がすれているようだし、お尻と背中にツッパリ感が出るな。」ということでした。
私には体が動く理由には更に二つの要因が関係しているように思います。
一つは、接触している面に発生する摩擦力が影響していることです。
摩擦力の大小はマットレスを垂直方向に押す力と接触面積に比例するので、重さも重くマットレスとの接触面積も大きい上半身は動かず、下半身を押し出すのではないか、という点。
二つ目は、ベッドの回転軸と骨盤の回転軸に距離があることで身体を押し出す動作を生んでいるのではないか、です。
マットレスの背角度が最大に近付くと同時に、マットレスの位置が前方に出てきます。とすれば身体が前に押し出されます。マットレスが後ろに逃げる動きがないといけないのではないでしようか。マットレスの厚みが厚いほど押し出す力が大きく働きます。もし、この距離を0する構造があればいいのですが・・・。
全体を通しての私の感想は、メーカーさんもパンフレットに書いている通り、あくまで介助者の「背抜き介助」の手間を軽減する目的ですから、マットレスと接している身体の表面全部を一旦マットレスから離す行為である「 背抜き介助 」自体が無くなることはないと思いました。
しかし、この介助も事後処理です。体にズレを発生させておいて、後でズレを取り除いています。一番良いのはズレを発生させずに背上げや背下げの介助が出来れば良いんです。
腹部の圧迫感は私が寝てみた感じではさほど感じませんでした。寝ている方の状態にもよると思いますが、腹部の圧迫は骨盤の肢位によって左右されるので、骨盤を後傾させ過ぎない方法にすれば解決すると思いました。
以上、介護術の伝導士こと、草野博樹でした。
最後までおつきあいくださり、ありがとうございます。
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店長の草野です(93秒)
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