日本褥瘡(じょくそう)学会による定義は、以下の通りです。
ポジショニングとは、
『運動機能障害を有する者にクッションなどを活用して
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身体各部の相対的な位置関係を設定し
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目的に適した姿勢(体位)を
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安全で快適に保持することを言う。』
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ポジショニングには目的があります。
何のためにポジショニングをするか、です。
目的を達成するために
身体各部の並びを整えて
ふさわしく、好ましい姿勢、体位を実現する。
その姿勢・体位は安全で快適であること。
クッションなどを活用して
安全で快適なサポートを実現する。
これがポジショニングです。
例えば、こんなものがありますよね。
ポジショニングには
これらを可能にする効果や働きがあると言うことです。
つまり、これがポジショニングの意義です。
これらの効果、働きを得るには
ポジショニングの肝が4つあります。
この4点が実現できていないポジショニングならば
百害あって一利なし、になりかねません。
では、一つずつ説明をします。
一定の時間、一定の姿勢を保ち続けられることです。
脱力しても体位・姿勢が崩れて変化することなく、
安定かつしっかりと身体を支えていることです。
一定の時間とは、2時間3時間の事を指します。
これ以上長い時間、同じ体位・姿勢を保ち続けることは
好ましいとは言えません。
体位変換を交え
同じ姿勢が続かないようにします。
筋肉の緊張、こわばりを緩めてリラックスさせることです。
筋緊張の起こる理由は様々ですが、
多くは体位が捻じれていたり、曲がっていたり、不自然で不安定な状態の時です。
これが、ポジショニングの定義で言うところの
身体各部の相対的な位置関係が崩れている状態です。
この状態では、
無意識に安定する格好・体位へ修正しようと
筋肉の緊張が起こります。
筋緊張をほどくには、
重力を利用するのが効果的です。
時間をかけながらゆっくりと、筋緊張を緩めながら
良い格好・体位に戻していきます。
無理やりの矯正は逆効果。
ますます筋緊張を高めますので止めましょう。
筋緊張がゆるむと、
拘縮の改善が期待できます。
体に掛かる圧力のムラをなくし平均的にすることです。
床ずれの発生リスクを下げ、安楽さや快適さを生み出します。
体圧分散を図るには、
基本、体を受ける面積(=受圧面積)を大きくします。
(圧力)=(体重)÷(受圧面積)ですから、
理論的には、受圧面積を大きくすれば圧力を小さくできます。
受圧面を柔らかくすると
凸部を沈み込ませることができ受圧面積は広がります。
それでも、実際には凸部に圧力が偏ることは避けられません。
より効果的な策は、
体の凹凸に合わせて、受圧面にも凹凸を形成して支えることです。
このような受圧面のことを、
専門的には「コントゥアーされた曲面」と言います。
「コントゥアー」は、体に沿っている、の意味です。
この方が、体圧はより均一に分散されます。
ただし、
極度のコントゥアーは不快感を招きますので注意が必要です。
対象者が動こうとした時にサッと動き出せること、
動きを妨げない状態にあることです。
固いもので支えろと言ってるのではありません。
体圧分散との兼ね合いとなります。
クッションに力が吸収されて思うように動けない
アリ地獄状態であってはいけません。
全介助の人は動けるわけないと思うかも知れませんが
動けないと思われていた方が適切なポジショニング実施後
動いた事例があります。
可能性をつぶさない支えとすることです。
これらを兼ね備えたものがポジショニングです。
何を目的とし、ポジショニングするかによって
4項目の比重は違ってきます。
以上、介護術の伝導士こと、草野博樹でした。
最後までおつきあいくださり、ありがとうございます。
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店長の草野です(93秒)
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