1日8回、血圧センサーを働かせる【vol.100】

重力が体に与える影響を探る、3回目です。

今回から、

宇宙飛行士と高齢者に共通する

身体の変化を一つ一つ見ていきます。

▼血圧が大きく変動する

宇宙へ言った途端、

血圧が大きく変動して不安定になります。

なぜか…?

先ず、地上の重力下での話をします。

例えば、

立位の血圧を測ると

心臓の高さの血圧が100mmHgだとすると

頭部の血圧は70mmHg、

下肢の血圧は200mmHg位になります。

臥位だと

頭部、心臓、下肢、どこを測っても

均一にほぼ100mmHgになります。

理由はお分かりの通り

血液も重力の影響を受けているからです。

立位では血液が下半身に多くなります。

下半身に溜まり気味の血液を循環させるため

低い位置ほど血圧を上げているわけです。

ところが横になると

血液は全身に均等に分布するようになるので

血圧が均一になります。

このように

立つ、座る、寝るなどの姿勢変化に対応し

血圧変化をコントロールしているのは、脳です。

脳が血液量不足で活動停止、

意識の喪失に陥らないように

脳に流れ込む十分な血液量を確保するため

姿勢変化に応じて血圧を調節しています。

脳は、頸動脈と心房にある

血圧の変化を感知するセンサーから情報を得て

血圧をコントロールしています。

頸動脈と心房では、血圧と血液量を感知します。

脳に流れ込む血液量が

足りないと感知すれば血圧を上げ

多いと感知すれば血圧を下げています。

この働きが、宇宙へ出た途端に混乱を起こします。

身体に上下の感覚がなくなり

血圧を上げればいいのか、下げればいいのか

一時的に分からなくなります。

それで血圧は上下を繰り返し

不安定な状態となるんですね。

次第に血圧は落ち着いてくるのですが、

落ち着くと今度は、

宇宙飛行士は頭に血が上ったように感じると言います。

そりゃそうですよね。

70mmHgだった脳の血圧が100mmHgに上がって、

常に血圧が上がった状態と感じているんですから。

宇宙環境に慣れると

血圧と血液量をコントロールする機能の働きが

次第に鈍っていくようになります。

地球に帰還した宇宙飛行士が

失神状態を引き起こしてしまうのは

すぐには血圧と血液量の調節が出来ず

脳の血液量が不足するためだったんです。

ベッドに寝ている時間が多いと

年齢に関係なく、これと同じ現象が起こります。

風邪で3日も寝込んでしまうと

4日目、ベッドから起きようとした時

立ちくらみした経験があるはずです。

血圧と血液量をチェックするセンサー感度は

年齢とともに鈍くなっていきます。

そうなると、急に立ち上がったりした時の

血圧の変化に対応することが余計に出来なくなります。

起立性貧血を起こす危険が高くなります。

こうしたことが起こらないように予防する意味でも

毎日、血圧センサーを働かせ続けることが

身体に良いと言えます。

長期臥床の方の場合、寝る→起きるを、

1日に8回以上行えば血圧センサーの機能を保てる

そうです。

ここでいう「起きる」の姿勢に

ベッド上の長座位姿勢は含めません。

この状態は「起きた」内に入りません。

かかとの位置がお尻より下にあることが理想です。

最低でも座位姿勢です。

その方が血圧センサーをよく働かせられるからですね。

離床離床と言われる理由の一つが、これですね。

▼貧血状態になる

宇宙環境では貧血気味になる。

これは簡単に言うと

脳へ流れ込む血液量が増え

血圧が上がった状態が続くために

血液量が増えたと勘違いした脳が

血液量を減らすように働き

結果として全身の血液量が下がるためのようです。

長期臥床の場合はどうなのか…。

本の中では詳細なデータ提示がありませんでした。

今回はここまでです。

次回は

・筋肉が衰える

・骨量が減少する

についてお届けします。

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