トウ角が車いす走行性に与える影響【vol.190】
トウ角とは?
トウ角は駆動輪で使う用語です。
トウ角は車いすを真上から観た時の(水平面から見た時の)
進行方向に対する駆動輪の角度です。
前方が狭い状態のトウ角はマイナスで表し(下図左)
前方が広くなっているトウ角はプラスで表します。(下図右)
マイナスのトウ角を【トウ・イン】
プラスのトウ角を【トウ・アウト】と言います。
トウ・イン、トウ・アウトの状態は
上図で示したような
駆動輪が反対に角度が付く場合だけとは限りません。
両駆動輪とも左方向を向きながらも(下図左)
あるいは右方向を向きながらも(下図右)
駆動輪の傾く角度の違いで
トウ・イン、トウ・アウトとなる場合もあります。
トウ角と走行性
トウ・イン、トウ・アウトがあると
- 転がりにくくなる(重たく感じる)
- 曲がって進む(まっすぐぐ進まない)
といった影響をもたらします。
転がりにくく・重たく感じる理由
駆動輪にトウ角が付くと
タイヤと走行面の摩擦が抵抗となり転がりにくくなります。
進行方向に対してタイヤは斜めを向いています。
トウ・イン、トウ・アウトが
ハの字(図1右)や逆ハの字(図1左)の状態だと
前進するとタイヤを引きずる抵抗が発生します。
この抵抗が駆動輪の回転する力を奪い
転がりにくい、重たいと感じるようになります。
曲がって進む・まっすぐぐ進まない理由
トウ・イン、トウ・アウトが図2の状態だと
図2左の状態なら、左に曲って進むようになり、
図2右の状態なら、右に曲がって進むようになります。
まっすぐ進むことは難しくなります。
その上
タイヤを引きずる抵抗が増しますので
転がりにくい、重たく感じる車いすになります。
トウ角のメリット・デメリット
メリットは、ないでしょう。
わざわざトウ・イン、トウ・アウトにする理由は
思いつきません^^
デメリットは先に説明した通りです。
トウ角は意図して設けるものではなく
結果として付く角度です。
- もともとの品質のばらつき、
- ユーザーの体重による車いすフレームの歪み
- 長期間使用による変形
などで発生します。
目視で明らかにトウ・インやトウ・アウトが分かる
そんな状態の車いすは使用を避けましよう。
今回のまとめ
トウ角は意図して設けるものではなく結果として付く角度。
トウ角があると
転がりにくい(重たく感じる)、または
曲がって進む(まっすぐぐ進まない)車いすになる。