あなたならどっちの介助を受けたい【vol.044】
先週8日に実施した、
新人スタッフ向けの移乗研修では、
安全な移乗介助のポイント・注意点に焦点を当てました。
●あなたなら、どちらの人の介助を受けたいか?
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研修の冒頭、新人スタッフ9人に
究極の選択を投げかけました。
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【質問】
Aさんは⇒「性格良いけど、介助の下手な人」
Bさんは⇒「性格悪いけど、介助の上手な人」
あなたは施設に入所している利用者さんです。
Aさん・Bさん、どちらの人の介助を受けたいですか?
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彼らの選択は、
A⇒7人
B⇒2人
そこで、私は少し表現を変えて説明しました。
Aさんは、明るく、元気で、人懐っこい
誰からも好かれる介護士さん
だけど、介助が下手なために
入所者さんにケガはさせるわ、
危険な目に合わせることがしょっちゅうあります。
Bさんは、黙々と仕事をし、
必要なこと以外のおしゃべりはしません。
目立たずおとなしい印象の介護士さん。
だけど、介助が上手で
安心して身を任せることができます。
ヒヤリとしたことは一度もありません。
ここで、改めて9人に質問しました。
─あなたはどちらの介護士さんに介助してもらいたいですか?
9人の選択は、
A⇒4人
B⇒5人
となりました。
この研修は安全な移乗介助に焦点当ててますよ、
と言っておいたせいか、私の誘導に引っ掛かったのか(笑)
介助の上手なBさんを選ぶ人が半数を超えました。
どうして意見を変えたのか、
本人たちに訊いてみると
「やっぱり安全な人の方がいい。」
「性格が悪い人は虐待するんじゃないかと思って…。」
「んーーーー、…………、何となく?」
などと答えが返ってきました。
これを読んでいるあなたなら、どう思いますか?
●テレビドラマに観た、患者から見た良い看護師とは?
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金曜の夜、撮りためておいたテレビドラマ
「DOCTOR・最強の名医」の再放送を観ました。
第二話で、看護師の宮部佐知役・比嘉愛未さんが
ドクター相良浩介役・沢村一樹さんに
「君は、看護師失格だよ。」と言われるシーンがあります。
ちょっとご紹介しましょう。
─ここから─
宮部Ns
「相良先生。あれはどういう意味でしょうか…。」
相良Dr
「ん?」
宮部Ns
「私が看護師失格って…、
私はもう9年目です。仕事はちゃんとしてます!」
相良Dr
「そうだねぇ…。」
宮部Ns
「じゃ、なんで失格なんですか?」
相良Dr
「…、だって、君、笑わないんだもん。」
宮部Ns
「えっ!?」
相良Dr
「仕事ができても二コリともしない人より、
多少おぼつかなくてもニコニコしてる人の方が
患者さんにとっては良い看護師だと思うなぁ。」
宮部Ns
「笑ってますよ、私!」
相良Dr
「……。
どうかな?」
─ここまで─
「仕事はおぼつかないけど、いつもニコニコしている看護師」
「仕事は出来るけど、ニコリともしない看護師」
相良先生は、患者さんにとって良い看護師なのは前者。
と言っています。
●AもBもどっちも居て良い。
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話を戻しますね。
私は9人にこう話しました。
『AもBもどっちもあって良い。
どっちが正しいとは言えない。
Aしかいない。Bしかいない。
こんな偏った環境の方が異常です。
施設スタッフ全員がAさんタイプだけだったら
こんな気持ち悪い所ないでしょう?
いつも元気な人がそばにいて欲しい訳でもなく
時には、暗ーい感じの人が合う時だってある。
意地悪なスタッフにだって馬の合う入所者さんはいます。
第一、性格なんてそう簡単に変わらないよ。
皆さんは始めにAさんタイプが良いと言いましたが、
皆さんが介助が下手なままでは困ります。
上手になる努力は要りますよね。』
介護職はかくあるべきとか、
○○でなきゃいけないとか、
○○するべきだとか言わず
多様性を認める方が大事だと思います。
私たちの価値観って
誰かから植え付けられたものばかりじゃないですか。
国、地域、学校教育、家庭、マスコミ、本などからね。
彼らには、自分の頭で考えることを止めないで欲しいと願いました。
やっぱり研修で余計なことしゃべっちゃいましたね(笑)