背抜きの後にすると良い「もうひと手間」【vol.063】

電動ベッドの背上げ直後、背下げ直後は
背抜き介助をします。

背抜き介助は、皮膚のツッパリを解放して
床ずれの発生リスクを下げ、安楽さを提供します。

でも、

悲しい話、
背抜きしただけでは、安心できないんです。

今回は

安心できない訳、そして
背抜きの後に加えてほしい「もうひと手間」
についてまとめます。

背抜きは事後処理の介助なので
体を引きずった事実を消すことはできません。

安心できない訳はこの点ではありません。

安心できない訳は
背抜きした後に起こる姿勢変化、です。

●背上げ後が特に問題
————————————————————
背下げして、背抜きした後は、そう問題ありません。

マットレスがほぼ平らになってるか、
起きてても、背角度30度ぐらいまでなら大丈夫でしょう。

問題なのは、背上げ後。

背上げが終わって、背抜きすると
背中に生じた皮膚のツッパリ・不快感は
かなり取り除けます。

ここで注目してほしいのです。
普段から背抜きをされている方なら感じていると思います。

背抜きをすると、少し体がずり下がりませんか?

そう、背抜きをすると体がずり下がるんです。

ただでさえ背上げのせいで体がずり下がっているのに
背抜きで更にずり下がってしまいます。

お尻の位置なんかマットレスの曲がっている箇所より
もっと足側に寄ってませんか?

だからって、ここで体を引き上げたりしたらダメですよ。

引き上げられた体は、更に滑り落ちようとするので
背中に強いツッパリを発生させてしまいます。

背上げされたままのマットレスは滑り台状態。
余計に滑り落ちようとします。逆効果です。

昔、公園に大きな土管がありませんでした?
子供の頃、中に入って寝たことありませんか?

土管に寝ると、土管に沿って体がまーるくなります。

背筋を伸ばしては寝られない。

電動ベッドの曲がる部分も土管と同じ。
誰も背筋を伸ばして寝ることはできない。

体がまーるくなって
マットレスは滑り台状態としたら、後は
体はずり下がるより他ないですよね。

この姿勢崩れが安心できない訳です。

●背抜きの後に加えてほしい「もうひと手間」とは?
————————————————————
姿勢崩れを起こしにくくなるためにする「もうひと手間」
それが姿勢保持のためのポジショニングです。

具体的にどうすればいいか、
やり方・手順をまとめますね。

ポイントは三つ。

1)坐骨の前に土手を作る
2)仙骨の後ろを膨らませて骨盤を立てる。
3)胸椎が収まる窪みを作る

この順序で姿勢づくりをします。

●坐骨の前に土手を作る
————————————————————
最初に骨盤の前滑りを止める土手づくりをします。
土手のことをアンカーと呼びます。

骨盤の滑りを止めるには
坐骨が引っかかる土手が要ります。

それには坐骨の前に
角度の付いたクッションを差し込みます。

角度が何度ならいいのか…、
ここが肝になります。

取り組み始めは、30度の角度があるクッションで
始めてください。

●仙骨の後ろを膨らませて骨盤を立てる。
————————————————————
次は仙骨の後ろを膨らませて骨盤を立てます。
背筋が伸びた座位姿勢を保ちたければ
骨盤を立てることです。

骨格は不思議な仕組みを持っています。
特に骨盤と背骨には次のような関係があります。

骨盤を立てると背筋が伸びて
骨盤が立ってないと背筋がまーるくなる。

逆もあって、

背筋を伸ばすと骨盤が立ち
背中を丸めると骨盤は立てなくなる。

こんな反応が自然と起こります。
全ては体のバランスを保つために起こる反応です。

では、骨盤を立てるやり方です。

マットレスとベッドの床板の間に
何でもいいので詰め物を挟み込みます。

体とマットレスの間ではなく
マットレスの後ろに詰め物を挟むのがミソです。

詰め物は、使わなくなった毛布やバスタオル
捨てようと思ったクッションで構いません。

詰め物を丸めて形を横40×直径10cm位の円筒にします。
きつく巻かずにつぶれて楕円形になるよう、ゆるく巻きます。

仙骨の真後ろに当たるよう詰め物を挟み込みます。
骨盤が立ってるか確認しながら挿入する箇所を探ります。

最初は厚みを薄くして、
少しずつ厚くしながらトライしてください。

ここで犯しがちなミスは
腰椎の後ろに詰め物を挟んでしまうこと。

腰椎を前に押すと居心地が悪くなります。

仙骨を押し出すように
詰め物を挟んでください。

上手く詰め物が挟めると骨盤が立ちます。

●胸椎が収まる窪みを作る
————————————————————
最後の仕上げが胸椎が収まる窪みを作ること。

仙骨の後ろに詰め物を挟んだことで
胸椎が収まる窪みが既に出来上がっています。

更にひと手間。

マットレスとベッドの床板との間
ちょうど、脇腹に当たる位置目がけて
左右1カ所ずつ詰め物を入れます。

脇腹を支えると上体が安定します。
脱力しても横倒れしなくなります。

詰め物は脇腹にだけ当たるようにして
肩甲骨はフリーにするのがポイントです。

つまり、脇腹は曲面に囲われた感をつくり
肩甲骨の後ろのマットレスは平面のままにします。

こうすると脇腹はマットレスにフィットしているのに
肩甲骨は後ろに若干の隙間がある状態になります。

腕と頭の自由度を阻害しないためには
この状態が必要です。

以上が、背抜きした後にする「もうひと手間」
姿勢保持のためのポジショニングのやり方です。

一般的なやり方は、ポジショニング専用の高価なクッションを
マットレスと体の間に挟む方法を取りますが

マットレスの後ろに詰め物をするこの方法には
2つ、大きなメリットがあります。

1)高価なクッションを使う必要がない
2)フィット感がとても良くなること

です。
金を掛けずに、すぐできますよ^^

先ずは、自分の体で体感。
職場のお仲間同士で確認し合ってみてください。

コツを掴んだら実践です。

Follow me!