瞬間的インセンティブは機能するか【vol.049】
インセンティブは「奨励・刺激・報奨性」の意味で
企業や組織、人に対して行動を促す動機付けを指しています。
「馬に人参」のことですね^^
インセンティブは、やる気を引き出す効果がありますが、
その中身によっては、かえってやる気を喪失させる面があります。
昨日の新聞に掲載された記事が気になりましたので
瞬間的なインセンティブは機能するのか、考えてみました。
●就職支度金と住宅手当の支給
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東日本大震災で被害の大きかった岩手・宮城・福島の三県を対象に
介護施設に正規職員として新たに就職した人に
一人10万円の就職支度金
併せて住宅手当として月額2万円を支給
厚生労働省が2014年度から支給する方針を固めた。
とありました。
ただし、
就職支度金は一回限り
住宅手当も最長で一年間の条件付きです。
大変失礼ですが
このインセンティブが
動機付けとして機能するとは思えません。
就職に、一年間だけ、一回限りのような
瞬間的なことを求めてないでしょう。
2年目からどうなるかを考えたら
かえって敬遠させるように仕向けたも同じです。
●どうして新規ばかりを優遇する
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こんなことが取り上げられる度
「なぜ新規ばかりを優遇する!
既存従業員は怒ってるよ!」
と思います。
まだ入社もしていない一般人と
今、施設で働いている従業員のどちらを大切にするべきか。
答えは明らかに従業員ですね。
テレビCМで流れる
携帯電話各社の新規乗り換え基本料金二年間0円
これも既存契約者には腹立たしいはず。
「俺たちこそもっと優遇してくれよ!」
そう言いたくなりますね。
●「先ず隗より始めよ」
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本当の雇用対策は
今、働いている人の満足度を上げることです。
なんであれ
そこで働く人たちが生き生きと楽しそうでなければ
人が集まる場所にはなりません。
「先ず隗より始めよ」は
本当に優秀な人材が欲しいと望むなら
今いるスタッフを重用すること。
それが自然と欲しい人材が集まってくる状態を作る。
と言っています。
遠回りのように見えて、実は真理ですね。
介護業界は入職者より
離職者の割合が常に上回っています。
大きな穴の開いたバケツに
チョロチョロしか出ない蛇口から水を汲んでいるようなもの。
穴を塞ぐことに取り組んで欲しいところです。
2013年6月時点の介護関係職種の有効求人倍率は
・岩手県⇒1.11倍
・宮城県⇒1.70倍
・福島県⇒2.07倍
2013年3月時点の全国平均が1.71倍ですから
この三県が特別人手不足ではないのです。
19の都道府県が平均を超えていて
東京都⇒約2.8倍、岐阜県⇒約2.6倍、愛知県⇒約2.9倍と
もっと深刻なところもあります。
震災が国費投入の名目にはなりませんね。