宇宙飛行士にみる重力と老化の意外な関係【vol.098】

今回から何回かに分けて

重力が体に与える影響をテーマに

お届けしようと思います。

以前からこんなことを思ってました。

宇宙で生活したら

床ずれは発生しないんじゃないの…?

無重力で圧迫もないし

身体が浮いてるわけだし

栄養不足で、ガリガリに痩せてても

「外力」がゼロに等しい環境では

床ずれが出来ないんじゃない?

あなたはどう思いますか?(笑)

床ずれだけみたらそうかもしれませんが

それ以外で無重力が体に与える影響は

好ましいものではないでしょうね。

▼環境の変化に対応した結果

進化論を唱えたダーウィンは

変化に対応できたものだけが生き延びられた

と言っています。

人間もまた環境の変化に

柔軟に対応する力を持っています。

私たちは重力のある環境で暮らしています。

良くも悪くも重力に対応した体に進化し

その仕組みを持つようになりました。

無重力の世界に身をさらした宇宙飛行士が

地球に戻った直後の映像を思い出しください。

自力で立って歩けない

車いすに乗せられて移動する姿が映りますね。

これもまた無重力環境に対応した結果であり

パッと見で私たちにもわかる体の変化です。

筋力の衰え、平衡感覚が鈍り

まともに立てないのだそうです。

▼宇宙飛行士は早く老ける?

人が宇宙に行ったらどうなるか

無重力は身体にどのような影響を与えるんでしょう。

逆の視点からすると

重力がある「おかげ」で出来ていることが

ハッキリしてくると思います。

人類が宇宙開発を始めた当初、

宇宙では物が飲み込めなくなるのでは?

目の玉が飛び出てくるかもしれない!

なんてことが真剣に議論されていました。

今思えば可笑しいですね。

未知の世界だったわけですから仕方ありません。

実際にそのようなことはなく

予想はことごとく外れました。

『宇宙飛行士は早く老ける?』

─重力と老化の意外な関係─

ジョーン・ヴァーニカス著

元NASAライフサイエンス部門責任者

ジョーン・ヴァーニカス氏が書いた本によると

宇宙飛行士には宇宙へ行ったその日から

次のような体の変化が起こるとのこと。

例えば

・血圧が大きく変動する

・貧血状態になる

・筋肉が衰える

・骨量が減少する

・腸の働きが低下する

・免疫の働きが低下する

・暑さや寒さを敏感に感じるようになる

・眠りが浅くなる

・身体を安定させることが難しくなる、など。

そして宇宙から地上に戻ると

・視力の低下、物がぼんやりと見える

・姿勢を上手く保てない

・赤ちゃんのようなヨチヨチ歩きになる

ようになると言います。

宇宙飛行士の向井千秋さんは

「宇宙から帰ったとき、

一枚の紙が猛烈に重く感じられました。

地球にはこんなに重力があったのか!」

と感じたそうです。

こうした老化現象にも似た宇宙飛行士の身体の変化は

リハビリを続ける中で元に戻っていきます。

「老人とは、長い人生をかけて、徐々に

重力の恩恵を避けるようになった結果ではないか…。」

本書の中で

ジョーン・ヴァーニカス氏はこのように言っています。

重力の影響を受けない生活が

一時的な宇宙飛行士の老化現象と似ている。

これから何回かに渡って

ジョーン・ヴァーニカス氏の本を元に

重力が体に与える影響についてまとめていきます。

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