シーティング「ハムストリングと膝関節伸筋群(2)」【vol.169】
シーティング第一章「人の身体のこと」
第15回目です。
脊柱と骨盤に関わる6つの筋肉群は、
次のような「3つの対」として捉えましょう。
1)背筋群と腹筋群
2)臀筋群と股関節屈筋群
3)ハムストリングと膝関節伸筋群
力学的構造の理解を深め
脊柱が伸展したり屈曲したりする、そして
骨盤が前傾したり後傾したりする
理屈を知ることが基礎となります。
今回は、
「ハムストリングス」と「膝関節伸筋群」
2回目ですね。
前回、ハムストリングスの説明で終わり
問題を出しました。
先ずは、
問題の答えと「膝関節伸筋群」についてです。
▼問題
座位でハムストリングスが働くと
姿勢にどのような影響を及ぼすでしょうか。
▼答え
骨盤が後傾して脊柱の屈曲が起きます。
お尻が浮き気味になり坐骨の前滑りが発生。
仙骨座り、ずっこけ座りを誘発します。
ハムストリングスは
股関節を伸ばし(伸展し)
膝関節を曲げる(屈曲する)筋肉群です。
股関節の伸展は
座位では骨盤後傾を引き起こします。
また、
お尻を浮かせる力として作用します。
座面とお尻の摩擦力が小さくなるので
上半身の重量に押されて
お尻は簡単に前滑りします。
膝関節を屈曲する力もまた
お尻を浮かせる力となります。
座位で膝を曲げようとすると
足底が床を押します。すると
反作用の力として膝が上に持ち上げられます。
この力が太もも裏とお尻を浮かせる力として作用します。
結果、お尻の前滑りが起きます。
車いすを足漕ぎする方は
ハムストリングと臀筋群を活発に動かしますね。
前傾姿勢で漕ぐ漕ぎ方を習得してなければ
すぐにお尻の前滑りが発生するのは当然のことです。
では、「膝関節伸筋群」に入ります。
▼「膝関節伸筋群」の働き
文字通り
膝関節を伸ばす(伸展する)働きです。
太ももの表側にある筋肉群ですね。
骨盤腸骨と膝蓋骨をつなぎ
または
大腿骨と膝蓋骨をつないで
膝関節を伸ばします。
大腿四頭筋(だいたいしとうきん・だいたいよんとうきん)と呼ばれる
筋肉群がその働きを担います。
大腿四頭筋は次の四つの筋肉です。
・大腿直筋(だいたいちょっきん)
・中間広筋(ちゅうかんこうきん)
・外側広筋(がいそくこうきん)
・内側広筋(ないそくこうきん)
一つずつ確認します。
▼大腿直筋(だいたいちょっきん)
骨盤の上前腸骨棘と膝蓋骨をつないでいます。
座位姿勢のまま膝関節を伸展してみてください。
骨盤の付け根を触ると固くなる筋肉がありますね。
それです。
この時
骨盤が前傾するように感じませんか?
膝関節を伸展する力は、同時に
股関節を屈曲する力としても作用します。
下肢がおもりになって
大腿直筋が骨盤の上前腸骨棘を引っ張ることとで
骨盤前傾の力が働いているためです。
▼中間広筋(ちゅうかんこうきん)
中間広筋は、大腿直近の下にあり
大腿骨の半分より上の方と膝蓋骨をつなぎます。
▼外側広筋(がいそくこうきん)
外側広筋は、中間広筋の外側にあり
同じく大腿骨と膝蓋骨をつなぎます。
筋肉マッチョの方の太ももの外側に
膨らんでる筋肉ありますよね。それです。
▼内側広筋(ないそくこうきん)
内側広筋は、中間広筋の内側にあり
同じく大腿骨と膝蓋骨をつなぎます。
またまた筋肉マッチョで言うと
膝の上の少し内側にポッコリ膨らんでる筋肉ありますね。
それです。
と言うことで、百聞は一見に如かず。
▼膝関節伸筋群はこちらのイラストでご確認ください
以上、ここまでです。
次回は、
「姿勢が身体と心に及ぼす影響について」