曲がるストローとベッドの背上げは同じことが起こる【vol.023】
曲がるストローって…名前は何て言うんでしょうか?
誰か知っていたら教えて下さい^^
まっ、それはそれとして…、
今回のテーマは、機会がある度にまとめたり、
セミナーで話したりているのですが
とても人気のないテーマです(笑)
それでもしつこく、お伝えするのは、
これが腹に落ちないと
電動ベッドの介助のポイント、車いすシーティングのポイントが
理解できないからです。
真実は、その重要性に気づかれにくいものであり
学ぶにはつまらないものです。
●曲がるストローの仕組み
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曲がるストローは、飲み口の5cm程下に
管がヒダ状に折りたたまれた蛇腹部分があります。
この蛇腹の箇所でストローを曲げると
管は潰れることなくきれいに曲がりますね。
この蛇腹の部分をよーく観て下さい。
(お手元にあったら用意して下さい。)
曲げの外側のヒダは開いているのに
内側のヒダは閉じたままですよね。
ヒダが開いている=長さが伸びている
と言うことです。
ヒダが閉じたまま=長さの変化なし
と言うことです。
ストローを曲げた時、
屈曲部の内側は長さがほとんど変わらず
外側にいくほど長さが伸びている、ことになります。
蛇腹でない個所を曲げようとすると
ストローは管が潰れて折れてしまいます。
ストローを潰さずきれいに曲げるためには
曲げる個所で起こる長さの変化に対応する仕組み、が必要でした。
屈曲部の外側にいくほど長さが伸びる仕組み、
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それが蛇腹の正体です。
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一般的に、厚みのある物体を曲げようとした時、
屈曲部の外側ほど物体内部の組織が引き延ばされています。
陸上トラック競技の200メートル走を思い出して下さい。
ゴールラインは同じなのに
スタートラインは、外側レーンほど前方にありますね。
外側レーンほど長さが長くなるので
同じ200メートルを走るためにスタートラインが前に来ます。
●電動ベッドの「背上げ」も曲がるストローと同じ
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電動ベッドの「背上げ」は
ストローを折り曲げるために加えた、手の力と同じです。
ストローに相当するのは
マットレスであり、マットレスの上に寝る人の身体、です。
マットレスに人が寝ている状態とは、
曲がるストローが2本、上下に重なっている状態です。
平らな状態から背上げをすると
つまり、真っすぐなストロー2本を曲げていくと
どんな現象が起こるでしょう…。
背上げしていくに従って
ストロー同士が接触している面に、長さの変化が生じます。
上のストロー=人の身体は、外側の長さが伸びます。
下のストロー=マットレスは、内側の長さが変わりません。
接触している面で生じた、長さのズレのはけ口は
マットレスの上を身体が滑り、足側に移動する現象として見られます。
この現象を、背上げによってマットレスが滑り台になって
身体が滑っている、と思うのは的外れです。
実際、上半身は全く動いていません。
別の検証をしました。
身体の向きを180度逆にして、
足をベッドの頭側、頭をベッドの足側にして寝て、背上げをすると
(背上げをすると脚が上がっていくように寝ると)
この場合も頭と上半身が動くことはなく、マットレスの上を滑るのは足で
背上げの角度を大きくしていくと、マットレスから脚が突き出ていきます。
この現象からわかるように
長さのズレのはけ口として動かされるのは、重量の軽い方です。
それはつまり、マットレスと身体の間の摩擦抵抗が小さい方が動かされる
ことを意味しています。
背上げで、足がベッドの足側に移動するのは
上半身とマットレスの摩擦抵抗が大きく、
上半身はほとんど動かないからです。
上半身がほとんど動かないのが原因で
骨盤がマットレスに食い込むように押し付けられるので、
背上げ機能は、床ずれ製造機となる危うさを持っているのかもしれません。