ベッドの膝上げすると身体のずれはおさえられるは本当か【vol.024】

前回の、曲がるストローとベッドの背上げについて
読者のＴさんから質問メールをいただきました。

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【質問】
現在使用している電動ベッドは
背上げ機能のスイッチを押すと
膝の部分も10ｃｍ程上がるのですが
それでも体はずれるのでしょうか？
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Ｔさんに答えを返信した後で考えました。
同じように思っている方が多いかもしれないな…

そこで今回は、この件を皆さんとシェアしたいと思います。

●皆さんもどこかで聞いたり、言われたことはありませんか？
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「電動ベッドで背上げをする時は
先に膝上げをしてから背上げをすると
身体のずれが抑えられますよ！」

これは本当かな…。

私は腑に落ちなかったので
かなり以前、実際に検証してみました。
そして分かったのが

身体はマットレス上を「動かされている」が
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見た目には身体がずれてないように錯覚する。
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と言うことでした。

実際、身体はどのような動きをしたか、検証結果をまとめます。
被験者は身長162ｃｍの女性です。

検証方法は、次のようにしました。
１)仰向けにマットレスに寝ます。
２)かかと、大転子、肩にマーカーを付けます。
３)符合するマットレス箇所に同じようにマーカーを付けます。
４)膝上げを最高にします。
５)マーカーのずれ量と動いた向きを実測。
６)膝上げはそのまま、背上げして背角30度にします。
７)マーカーのずれ量と動いた向きを実測。
８)背上げして背角度最大にして、膝上げを下げます。
９)マーカーのずれ量と動いた向きを実測。

●身体のずれ量と向き
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・膝上げを最高にします。マーカーは、
かかと・・・頭側へ２ｃｍ移動
大転子・・・頭側へ１ｃｍ移動
肩・・・・・頭側へ１ｃｍ移動

・膝上げはそのまま、背上げして背角度30度。マーカーは、
かかと・・・足側へ１ｃｍ移動
大転子・・・足側へ１ｃｍ移動(=元の位置に戻る)
肩・・・・・足側へ１ｃｍ移動(=元の位置に戻る)

・背上げして背角度を最大にして、膝上げを下げます。マーカーは、
かかと・・・足側へ８ｃｍ移動
大転子・・・動かず
肩・・・・・頭側へ２ｃｍ移動

この結果から、背上げ完了後で
大転子の位置がほとんど動いていません。
つまり、身体はずれていないんだ、と錯覚してしまします。

本当に身体がずれていないなら、
背中とお尻周り・かかとに突っ張り感は感じないはずですが
実際には、強い突っ張り感を感じます。

感じると言うことは、身体にずれが起こっている証拠です。

事実、かかとは、大きく動かされているのが分かりました。
肩も背角度最大なのに重力に逆らうように頭側に２ｃｍ動きました。

膝上げをすれば身体のずり落ちが抑えられるのは確かです。
その意味で身体がずれない、は正しいと言えます。

しかし、決してずれの力が発生していないわけではないのです。

身体はずれていないから、背抜きの必要がない
となってしまうのが一番怖いですね。

後で背抜きするんだから、膝上げして背上げした方が
身体の動きが小さくなるからいいのでは？と思いますよね。

そうですね。正しいですね（笑）

膝上げを使うと本来動くはずの臀部の動きを抑え込んでしまうので
臀部に強い圧迫が掛かかります。

尾骨や仙骨に床ずれのある方、出来そうな方にとっては
条件が悪くなるので注意が必要です。

●ちなみに、膝上げをしないままで背上げをするとどうなるか…
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検証実験から得られた、
マーカーのずれ量と向きをまとめておきます。

・背上げして背角度30度。マーカーは、
かかと・・・足側へ４ｃｍ移動
大転子・・・足側へ１ｃｍ移動
肩・・・・・動かず

・背上げして背角度を最大。マーカーは、
かかと・・・足側へ更に６ｃｍ移動(計10ｃｍ移動)
大転子・・・足側へ更に３ｃｍ移動(計４ｃｍ移動)
肩・・・・・動かず

明らかにお尻の位置が足側に動くし、
かかともマットレスからはみ出す位まで動くので
身体がずれてるな、と分かります。

でも面白いのは、肩の位置は全く動いていないこと。
本当に身体がずり落ちるのは、背下げをした時なのです^^