言葉の定義は施設長の言う通り言葉遊びか【vol.046】
組織である以上、共通の目的があります。
目的を達するためにメンバーのとるべき行動を示しているのが
理念であり、社是であり、行動指針です。
ところがこうしたもののほとんどが抽象的です。
抽象的なので解釈は人それぞれ。
解釈が違うと行動が違ってきます。
行動が違うとベクトルの向きはバラバラ、
持てる力が分散されてしまいます。
言葉を定義すると
↓
解釈が同じになり、
↓
行動が同じになり、
↓
持てる力のベクトルが同じ向きになり、
↓
推進力が増します。
今回は「言葉の定義」についてまとめます。
●「そういった言葉遊びはしない」
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今月8日に実施した
介護施設さんの新人スタッフ研修に先立ち
何度か施設長さんと打ち合わせた折、
会話の中に登場した、私がとても気になった
言葉がありました。
私:
「新人さんは『声掛け』って何することなのか
『気配り』って何することなのか
言葉の定義は教えられてるのかな…?」
施設長:
「そういった言葉遊びはしない。
それよりも、○○する、というように
具体的にとる行動を示して指導している。」
言葉の定義が言葉遊び、ですか…。
そのように捉えているのはナゼなのか、
ずっと気になっています。
●日本人だから日本語を理解しているか?
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私たちは日本人ですね。当たり前^^
だから、日本語の意味は理解しているものだ、の先入観があります。
でも、その言葉の意味を説明してください、と外国の方に訊かれて
正しく説明できる自信はありますか?
実は知っているようで知らない
学んだはずなのにすっかり忘れている
なんとなくのニュアンスで勝手に解釈していた
普通の人の日本語力って、
それが普通なのかもしれません。
そんな状態で、優しく、安全に、丁寧に
と言われても、
具体的に何をどうするかはわかっていないのです。
一から言葉の定義をスタッフ全員で徹底して共有することは
やるべきことを知る、伝えるためには意味があると思いませんか?
●わかる表現に変換すること
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国語辞典に書いてある内容で共有しても意味はありません。
あいまいな表現が多いので
現場で「何をするのかわかる表現に変換する」行為が必要になります。
極端な話、その施設でしか通用しないことを指す言葉になっても
良しとすべきでしょう^^
それくらい、言葉をしっかり定義しておかないと
スタッフ全員が同じ行動を取れないし、
共通の価値観が持てなくなります。
以前、メルマガで書いた「整理と整頓」が良い例です。
私が示した整理・整頓の定義は
国語辞典に載っている内容とは若干違います。
私の「整理」は、
↓
必要なものと要らないものを分けて、
要らないものを捨てること。
国語辞典の「整理」は
↓
乱れた状態にあるものを整えること。片づけること。
無駄なものを取り除くこと。
「整える」とは、形をきちんとさせる、不足のないようにそろえる、
まとめる、調子をよくする、の言葉です。
国語辞典に
必要なものと要らないものを分ける、とはどこにも書いてない。
無駄なものを取り除く、とはありますが、
要らないものを捨てる、とは書いてない。
国語辞典に書いてあるようなことを整理の定義にすると
横のものを縦にする、右の物を左に移動する
そんなことが起こります。
だから物が溢れて収集がつかなくなる。
整理とは基本、捨てないとできません。
私の「整頓」は、
↓
必要なものを、いつでもすぐ使える状態にすること。
国語辞典の「整頓」は
↓
散らかっている物を、きちんと片づけること。
整理と何が違うかわかりませんね(笑)
「頓」には、おちつける、きちんと置く、の意味があります。
だから「いつでもすぐ使える状態にする」の表現に変換です。
整理・整頓に対して
お母さんが子供に対して常日頃からこのように言っていたら
子供が何をするべきかがわかるはずです。
●相手に任せる。考えさせる。判断させる。
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本は本棚にしまいなさい。
おもちゃはおもちゃ箱に入れなさい。
などの、具体的にする○○は不要です。
それでいいんです。
具体的な行為を言ったら、それは指図、
子供はむしろ反発します。
「今やろうとしてたのに(怒)」となっちゃう。
細かいことまで指示しない。
あれこれ追加の言葉はいらない。
整理しなさい、整頓しなさい、というだけで
自分がすべきこと、相手にして欲しいことが伝わる。
言葉の無駄がなくりますね。
(人間関係の潤滑油的な無駄な会話はこれとは別ですよ^^)
相手に任せる、考えさせる、判断させる、
この繰り返しが人を育てます。
やり方は無限。
そこは、その子なりの創造性を発揮してもらいましょう!