睡眠が大事と言いながら【vol.060】
ナポレオンは3時間しか寝なった。
発明王エジソンは4時間。
アインシュタインは10時間も寝てたそうです。
睡眠が大事なのは誰もがわかっています。
睡眠時間と人の死亡率の関係でいえば
2002年、米・カリフォルニア大学サンディエゴ校が行った調査から
7時間睡眠のグループが一番死亡率が低かったことが知られています。
調査に当たった、同校のダニエル・クリプキ教授によれば
「最も適切な睡眠時間は、6.5時間~7時間だろう。」
と述べています。
これはあくまで平均であり
自分にとっての適切な睡眠時間は
自分で探っていくべきだと思います。
●自分の睡眠サイクルを知る
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睡眠にはサイクル(周期)があります。
レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルです。
レム睡眠とノンレム睡眠については後で詳しく説明します。
人の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返しています。
レム睡眠のピークからノンレム睡眠を経て、次のレム睡眠のピークまで
これを1サイクルとして「睡眠サイクル」と言います。
通常の成人の睡眠サイクルは90分と言われます。
これには個人差があるので
80分の人もいれば100分の人もいます。
睡眠サイクルの20%はレム睡眠と言われます。
睡眠サイクル90分の人なら、
レム睡眠9分⇒ノンレム睡眠72分⇒レム睡眠9分
で1サイクルになっています。
睡眠時間が8時間の人の睡眠サイクルを計算してみましょう。
8×60分÷90分=5回と余り30分、となり
5回のサイクルを終え、6回目に入って30分経った頃に
目を覚ました、ことになります。
6回目に入って30分経った頃とは、
レム睡眠のピークから9分を過ぎ
完全にノンレム睡眠に入って21分経った頃です。
ノンレム睡眠のピークがこの15分後に来ますから
脳の意識レベルはかなり低下している状態です。
このタイミングで起きると目覚めは決して良くありません。
頭がボーっとしているはずです。
では、目覚めの良いタイミングがいつか、と言うと
睡眠サイクルの6回目に入ってすぐに目を覚ますのが
スッキリ目覚められるタイミングです。
睡眠時間でいうと、
90分×5回=450分で
7時間30分を少し過ぎた辺り、となります。
つまり、レム睡眠のピークを過ぎたあたりで起きると
スッキリした目覚めとなります。
レム睡眠は、脳が活発に動いている睡眠だからです。
●睡眠曲線、レム睡眠とノンレム睡眠
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人が眠っている時の脳波を測定すると
線が上下に蛇行し、一定のサイクルを持った
波のグラフになります。
横軸は時間、縦軸は意識レベルです。
波の上の部分は、レム睡眠、
波の下の部分は、ノンレム睡眠、と呼ばれます。
眠りに入ると、意識レベルが下がり始め、波が下降していきます。
これはレム睡眠状態に入ったことを示しています。
睡眠の初めにはレム睡眠が現れます。
更に意識レベルが下がって行き、波は下がり
今度はノンレム睡眠状態に移ります。
波が下がりきると、今度は上昇を始めます。
波の下がりきったところがノンレム睡眠のピークです。
波は上昇し、そしてまたレム睡眠状態に入ります。
そして波が上がりきると、また下降を始めます。
この上がりきったところがレム睡眠のピークです。
この繰り返しを何度か行って、翌朝、目が覚めるわけです。
レム睡眠とノンレム睡眠は別の睡眠であり
以下に挙げたような睡眠の違いがあります。
●レム睡眠とは
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別名「体の眠り」と呼ばれています。
レム睡眠はREM(Rapid Eye Movementの略)
急速眼球運動を伴う睡眠である、ことから命名されました。
レム睡眠中は、眼球が絶えず動いているのが分かります。
レム睡眠では、脳が活発に活動しているのに対し
体の筋肉は完全に弛緩している状態です。
そのため、次のような眠りの特徴があります。
・眠りが浅く物音で目が覚めやすい
・トイレに行きたくなる
・夢を見る
・金縛りにあいやすい
レム睡眠時には
・筋肉の疲労回復をしている
・記憶の整理・固定をしている
と言われています。
レム睡眠のピークを過ぎたあたりで目覚めると
脳が活発に活動している状態なので目覚めは良くなります。
起床後は、体を眠りから覚ますために
朝日を浴びたり、新鮮な空気で深呼吸をしたり
顔を洗ったりすれば良いですね。
●ノンレム睡眠とは
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レム睡眠を否定するノンを付けて、ノンレム睡眠です。
別名「脳の眠り」と言われています。
ノンレム睡眠時は、脳が休息しています。
体も休息しリラックスした状態にありますが
活動はしているので寝返りができます。
ノンレム睡眠は脳が休息しているので眠りが深く
このタイミンクで起こされるとなかなか起きられません。
脳が目覚めていないので頭がボーっとしています。
このタイミングの起床は適さないのです。
ノンレム睡眠時には、
各種ホルモンを分泌して体の修繕が行われています。
成長ホルモン、メラトニン、副腎皮質ホルモンなどを分泌し
体の成長、病気・ストレスに対する抵抗力を高めています。
しかも、
ホルモンには分泌される時間帯に違いがあるので
その時間帯を含みつつ、
睡眠中のどのタイミングで分泌があると効果的か
こうした違いを考えて睡眠をとることが大切になります。
さて、
私たちの睡眠は、睡眠サイクルを知り
レム睡眠、ノンレム睡眠の違いを知って
寝る時間と起きる時間を決めているでしょうか?
まして、
要介護者の睡眠について
ここまで深く考えた介護を実践しているでしょうか?