筋肉量減少スピード、宇宙の1週間は地上の1年【vol.101】
重力が体に与える影響を探る、4回目です。
宇宙飛行士と高齢者に共通する身体の変化
・筋肉が衰える
・骨量が減少する
を見ていきましょう!
▼筋肉が衰える
無重力下で、
どれくらい筋肉が衰えてしまうのか。
宇宙滞在が6カ月に及んだ宇宙飛行士の
筋肉量変化の調査結果は、
平均で、毎週、0.5~1%減少している
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というものでした。
6カ月だと26週ありますから
トータルで13~26%減少していたことになります。
これだけ筋肉が衰えれば
地上に戻ってもふらついて立てないはずですね。
▼宇宙の1週間は地上の1年?!
私たちは20代で筋肉量のピークを迎え
その後、緩やかな減少をしていきます。
その減少量は1年間で0.5~1%と言われています。
地上だと1年かかることが
宇宙ではたった1週間で起こっています。
この事実は恐ろしいものです。
▼筋肉量が減少する理由とは
では、
なぜ筋肉量が減少してしまうか、
一番気になるのはここです。
答えは、
無重力下で、筋肉を作りだす量と、壊す量の
代謝のバランスが崩れることにあります。
地上の重力下では、作りだす量と壊す量の
均衡が保たれ、一定の状態でいます。
ホメオスタシス様様ですね、これも(笑)
ところが無重力下では、このバランスが崩れ
作り出す量よりも、壊す量がはるかに多くなる。
それで筋肉量が減っていくんですね。
▼代謝のバランスが崩れる理由は?
じゃー、
バランスが崩れるのはどうしてか?
要因は大きく3つ。
・成長ホルモンの分泌量減少
・タンパクを壊すホルモン「コルチゾール」の増加
・筋肉負荷の減少
です。
成長させるホルモンが減って
壊すホルモンが多くなるんですから
筋肉量が減っていくのは当たり前です。
▼成長ホルモンが減少する理由は?
睡眠不足にあります。
宇宙飛行士のほとんどは
宇宙滞在中、まともな睡眠がとれず
睡眠不足を引き起こしています。
睡眠薬を服用して
眠りをコントロールしないといけないほど。
これでは緊急時に対応できないと
問題になっています。
成長ホルモンは適切な睡眠をとることで
分泌が促されます。
その睡眠が良くないために起こっています。
▼壊すホルモンが多くなる理由は2つ。
・ストレス
・筋肉負荷の減少
です。
ストレスが多いとコルチゾールの分泌が増えます。
これでタンパク異化が早まる。これが一つ。
(異化とは分解のこと。医学用語)
無重力下は筋肉負荷がほぼゼロになりますね。
筋肉の代謝が下がり、作り出すエネルギーも減少します。
そのため筋肉がやせ細る委縮が起こる。
これらが重なって
著しい筋肉量減少を引き起こされます。
▼筋肉量減少には順番がある!
面白いことに
筋肉量減少には順番があります。
下肢→腰→背中→頭部
の順に筋肉量が減少していくんですね。
つまりこれは
地球上ではこの順に筋肉負荷が高い
ということでもあります。
負荷の高い筋肉から減少していく。
特に姿勢保持に貢献している筋肉から先に
減少するので余計に姿勢が保てなくなります。
▼ベッドに長期臥床の高齢者も同じでは?
ここまで読んでどのように感じましたか?
ベッドに寝たきりの高齢者と似てますよね。
・適切な睡眠でしょうか?
・ベッドでストレスを感じてないでしょうか?
・離床して筋肉負荷のある生活をしているでしょうか?
長くなりましたので「骨量が減少する」は
次回にします。