イノポス-F車いす用クッションの価値【vol.114】

車いす用クッション『イノポス-F』をご紹介します。

下の写真をご覧ください。

イノポスF車いす用クッション

製造販売元は、株式会社ウィズさん。

大阪に本社がある

介護用品の製造・企画・販売・輸入の会社です。

さて、

この『イノポス-F』クッション

とってもイイんです^^が、

外観からは良さが全く分からない(笑)

カバーを外して中身を観ないと良さが分からない。

車いすに乗せて座ってみないと良さが分からない。

そんな見た目はなんのへんてつもないクッションなのに

福祉用具のカタログには外観写真しか乗ってない。

価格は税抜き24,800円!

普通なら「高っ!」でおしまいです。

全くその価値が見えないし、伝わってきません。

実に、もったいない!ので

メーカーさんに変わり

私が『イノポス-F』クッションの価値をご説明します。

ユーザーの価値は二つ。

1)座位姿勢が安定しやすい

2)お尻の痛みが軽減されやすい

気になるのは「どうしてそうなるの?」ですね。

その理由が次の3つ

A)反り防止ボードの挿入

B)坐骨部のくりぬき

C)ウレタン素材の組み合わせ

A、B、Cの3つ仕様が

先の2つの価値を提供してくれます。

カバーのファスナーを開け

中身を取り出してみましょう。

▼座位姿勢が安定しやすい理由

先ず目につくのは

クッションの下にある固いボードです。

人が座っても曲がりません。

そのボードの上に

ウレタンクッションが乗っています。

ウレタンはいくつか固さの異なる素材を組み合わせ

一枚に成型しています。

ウレタン素材を変えた理由は

座面がコントゥアーしやすくするためです。

(「コントゥアー」とは、

身体の局面に沿っているの意味)

出っ張り部は柔らかい素材を当て沈み込むように

凸部は堅めの素材を当て余り沈まないように

体の凹凸に上手く沿うようにしています。

そして下に固いボードを入れてある。

これはスリンクシートのたるみによる

座面の傾きをなくすのが目的です。

平らな面に座るためです。

スリングシートの弊害はご存知ですね。

たわんだスリングシートは

座る位置が中心から少しずれただけで

骨盤が斜めに傾いてしまいます。

骨盤が傾くと、脊柱が湾曲してしまいます。

この状態は身体と心に良くありません。

ですので

平らな面に座ることが重要で

平らに座るためにボードを入れています。

これが座位姿勢が安定しやすくなる理由です。

▼お尻の痛みが軽減されやすい理由

ここで問題があります。

固いボードにウレタンクッションを乗せて座ると

とうしても坐骨が圧迫を受け痛みを感じます。

お尻の痛みだけなら

ボードを入れないほうが痛みません。

でも、平らな座面のためにボードは要ります。

それで坐骨の当たる部分だけ

ボードをくり抜いてしまいました。

イメージ的にはこんな感じです。

メイド喫茶のメイドさんの胸を強調したエプロン?

のようなU字形です。

胸の部分に坐骨が収まる、そんな感じの形です。

こうすることで

坐骨は差にら深く沈み込むことができます。

そしてお尻全体の受圧面積が広がり

お尻全体に掛かる体圧が分散されるようになります。

これがお尻の痛みが軽減されやすい理由です。

坐骨が当たる部分をくり抜くと

骨盤の傾きはどうなの?と疑問に思われますね。

坐骨が当たってないですからね。

坐骨が沈むことで

座面は広くお尻全体で当たるようになります。

つまり、お尻と太ももです。

太ももが平らな座面に乗っかることで

骨盤の傾きを少なくしています。

同時に体圧分散性も向上させています。

くり抜いた箇所には少し硬めのウレタン素材をはめ

坐骨の底付きを回避しています。

また、ボードの下には固めのウレタンを張っています。

理由はクッションカバーの破れ防止と

クッションが動かないようにするためです。

クッションは車いす座面に乗ります。

実際にはスリングシートを固定している

ネジの上に乗ります。

なので面ではなく点で支えるようになります。

固いネジの上に固いボードを乗せると

滑って簡単に動きます。

また、荷重がネジ山に集中するので

クッションカバーの底が簡単に破れてしまいます。

これを回避するために

ボード裏に固いウレタンを張り

受圧面積を広げたというわけ。

これなら車いす座面のフレームパイプ全体で

荷重を支え、クッションのズレもなくなります。

言葉だけで見てもいない

複雑な中身を言葉で説明するのは

なかなかしんどいです^^

どんなに良いクッションを使っても

座位姿勢の安定は得られません。

どんな車いすに座るかの方が

座位姿勢の影響を受けます。

『イノポス-F』クッションのようなタイプは

良い車いすを使用して初めて効果が出ます。

良い車いすとは

その方の好ましい姿勢づくり貢献できる

機能なりを持った車いすです。

クッションと車いすは

切っても切れない関係にあります。

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