シーティング「立位のカウンターバランス」【vol.156】

シーティング第一章「人の身体のこと」第2回目です。

どの筋肉が働くと

どう骨格に作用し

姿勢がどのように変化するか。
身体の反応について、

立位の頭部と骨盤と脊柱の反応を

詳しくみていきます。
ここで覚えることはただ一つ

「カウンターバランス」です。

▼「カウンターバランス」とは
重心の動きのバランスをとる動きです。

これまでも何度か登場しているキーワードです。
改めて説明しますね。
具体的例を挙げましょう。。
例えば、

お辞儀をするとお尻が後ろに突き出ますね。

このお尻を後ろに突き出す動き

これがカウンターバランスです。
例えば、

重たいリックサックを背負った時

身体を前傾させますね。

この前傾させる動きがカウンターバランスです。

 

カウンターバランスは

支持基底面内から外に出ようとする重心を

支持基底面内に引き戻すための身体の動きです。

 

お辞儀の例では
お辞儀したことで体重が前方に偏り

重心が前に移動したのを察知して

お尻を後ろに引く一瞬の動きで

重心を後ろに引き戻しバランスを維持しました。

 

重たいリックサックの例では
リックサックの重量が体重に加わったことで

体重が後方に偏り

重心が後ろに移動したのでを察知して

前傾姿勢をとる一瞬の動きで

重心を前に引き戻しバランスを維持しました。

 

事例は身体の前後の反応ばかり挙げましたが

あらゆる方向で同様の反応をしています。

 

体操の素人が平均台を渡る時の

ドタバタした危なっかしい動作は

カウンターバランスのオンパレードですよ^^

 

話を戻して

頭部と骨盤と脊柱の反応をみていきます。
カウンターバランスの動きは

骨格が動かされて起きています。
骨格を動かしているのは

筋肉です。
直立不動の立位は

先の2つの例ほど

はた目に動きが見えません。
しかし、

わずかながらにカウンターバランスの動きを

とり続けています。
直立不動の立位は

動いていないように見えて

かすかにゆらゆらと揺れています。
重心が前方に傾けば後方へカウンターバランスをとり

重心が左側に傾けば右側へカウンターバランスをとり

重心が後方に傾けば……

絶えずカウンターバランスをとっているので

身体がゆらゆら揺れるのです。
身体のバランスが不安定な理由は

重心の位置にあります。
立位時、身体の重心は

へその奥で腰椎の前にあります。
つまり、

骨格の芯から外れて前方にあります。

骨格の上に重なっていれば

安定性が良いのですが

脊柱の前にあるために

常に重心が脊柱を前屈させようとするので

バランスがとりにくいのです。
二足歩行になったからなので仕方ありません。
これが四足歩行なら

重心は脊椎の下にぶら下がるので

背筋群を働かせなくとも

自重で脊柱の伸展が得られます。
話が前後しましたが

直立不動の立位は

「脊柱起立筋」と呼ばれる筋肉群が働いているおかげで

維持できている姿勢です。
骨盤がやや前傾し

脊柱が伸展し

その上に頭部が乗っかっていて

顔が正面を向いている立位は

脊柱起立筋のおかげです。
脊柱起立筋は

背中側にある筋肉で

骨盤・仙骨と大腿骨をつなぐ筋肉群

骨盤・仙骨と脊柱をつなぐ筋肉群

腰椎と胸郭をつなぐ筋肉群

胸椎と肩と頸椎と頭をつなぐ筋肉群

の総称です。
これらの筋肉群が収縮することで

骨盤を前傾させ脊柱を伸展させています。

 

脊柱起立筋が働かず伸びてしまうと

膝が曲がって猫背の姿勢になってしまいます。
次回も

立位の頭部と骨盤と脊柱の反応の続きです。

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