シーティング「バランス、支持基底面、重心、立位の重心位置、座位の重心位置」【vol.155】
今回から「シーティング」がテーマです。
一口にシーティングと言っても
私なりに分解すると
大きく3つの要素を挙げられます。
1)人の身体のこと
2)人と車いすの寸法関係のこと
3)人車一体となった操作性のこと
3つの要素を章立てして順にお話ししていきます。
どんな内容か、簡単に触れておきますね。
▼第一章では、「人の身体のこと」をまとめます。
骨格と筋肉と姿勢の関係性です。
どの筋肉が働くと、どう骨格に作用し
姿勢がどのように変化するか
身体の反応について、です。
▼第二章では、「人と車いすの寸法関係」をまとめます。
ユーザーに合わせた車いすの主要寸法の導き方です。
その寸法が姿勢にどう影響するかを理解します。
既成品の車いすであれば
どこの寸法を確認すればいいか、
オーダーメイドの車いすであれば
各部の寸法をいくらにすべきか、
参考になるはずです。
▼第三章では、「人車一体となった操作性」をまとめます。
ユーザーにとって車いすの操作性をよくするには
「どこを」「どのように」すればいいか、理解します。
操作性の良い車いすは
ユーザーの動きを引き出すことが理解できます。
これら3つの要素が分かっていれば
車いすの選択は楽です。
車いすの選択に迷うことはなくなるでしょう。
そればかりではありません。
ポジショニングとの共通項の多いシーティングは
姿勢保持全般の見識を高めてくれます。
読んで終わりではなく
身体を動かしながらとか
紙に図面や絵を描きながらとか
体感することをおすすめします。
それでは第一章に入ります。
▼第一章「人の身体のこと」で会得すること
先ずは「人の身体のこと」です。
シーティングの目的は
機能的な座位姿勢を作り
ユーザーが望む時間や生活そのものを
提供することにあります。
シーティングの際は
機能的な座位姿勢を提供するために
車いすやクッションを調節します。
車いすやクッションのどこをどう変えると
座位姿勢がどう変化するかを知ってて変えています。
シーティングを実践する上で
身体の反応がどのように起こるか
それが姿勢をどう変化させるかを知っている
これが大前提にあります。
この章「人の身体のこと」では
以下のことを頭に身体に叩き込んで下さい。
1)頭部と骨盤と脊柱の反応
2)上肢と下肢の反応
シーティングは座位ですが
立位も含めた姿勢の成り立ちの理解抜きに
座位だけを理解することはできません。
なので
座位だけでなく立位も含めて
姿勢の成り立ちを先ずは
1番「頭部と骨盤と脊柱の反応」の面からみていきます。
▼バランスとは
私たちの身体は無意識にバランスをとっています。
頭部と骨盤と脊柱の反応・動きは
全てはバランスをとるために起きています。
先にバランスの説明に少し時間をいただきますね。
バランスをとるとは
無意識に筋肉を働かせ
身体の重心の位置を
支持基底面内に収めようとする行為のことですね。
▼支持基底面とは
支持基底面は体を支えている土台の面のこと。
立位であれば二つの足底が囲む領域が
座位であれば背中と両肘と臀部と
両大腿と両足底が囲む領域が
支持基底面を形成します。
▼重心とは
バランスをとっているのは
身体の「重心のバランス」です。
「重心」は
物体の重量が一点に集中している点のことで
この点を支えると物体のつり合いがとれる点です。
あくまで仮想点です。
実際にそのような点はありませんし
そもそも「点」には質量がありません。
物理的に矛盾しているのですが^^
重心のような点があると仮定したほうが
色々な現象説明がしやすいのです。
そういうものなんだとご理解ください^^
▼立位の重心の位置は
身体の重心はどこか。
立位と座位では重心の位置が異なります。
これも説明をややこしくする理由ですね。
重心は、どの範囲の塊を一つに捉えるかで
その位置が違ってきます。
立位は全身を一つの塊と観ます。
直立不動の様な立位の重心は、
お腹の中、おへその奥で
背骨の前にあると言われています。
同じ立位でも重心の位置は変わります。
例えば深々とお辞儀をしたような姿勢だと
重心は身体の外に飛び出します。
おへその前あたりの空間に重心が移動します。
身体の外?
????????????…
だんだん重心がわからなくなっていませんか^^
重心は必ずしも物体の中にあるとは限らないんです。
重心の面白いところです。
▼座位の重心位置は
また、
座位の重心は、みぞおちのやや上
背骨の前、第12胸椎の前にある
と言われています。
座位では下肢の重量は除いた塊で観ます。
ふらつく身体の重量に影響しているのは
主に坐骨から上の部分です。
下肢が座位バランスに全く寄与してない
訳ではありません。
座位の場合は立位ほど影響していないだけです。
次回は、
立位の頭部と骨盤と脊柱の反応を
詳しくみていきます。