シーティング「上肢と下肢のカウンターバランスとしての役割」【vol.157】
シーティング第一章「人の身体のこと」第3回目です。
立位時の頭部と骨盤と脊柱の反応を
みていきます。
どの筋肉が、どう骨格に作用し
姿勢がどのように変化するか、
身体の反応についてみていきます。
前回は「カウンターバランス」でした。
今回はこれです。
「上肢と下肢の役わり2つ」
身体のバランスにおける
上肢と下肢の役割は大きく2つあます。
1)カウンターバランスの動き
2)重心の位置を低くするおもりの働き
この2つです。
まず、カウンターバランスの動きから。
▼上肢と下肢の役割1)カウンターバランスの動き
カウンターバランスの復習です。
カウンターバランスとは、
「ふらつく重心のバランスをとる動き
支持基底面内から外に出ようとする重心を
支持基底面内に引き戻すための
身体の動き・反応のこと。」
でしたね。
もう、しつこく何度も言いますからね(笑)
重心がふらつきなく安定していれば
カウンターバランスとしての動き・反応は
ほとんどありません。
重心がふらふらして不安定な時は
上肢と下肢がここぞとばかりにバタバタ動いて
カウンターバランスとしての動き・反応をみせます。
これには法則があります。
重心が傾いた真逆の向きに
上肢と下肢が動く反応が起こります。
【重心の傾き】→→【上肢と下肢の反応】
前方に傾く →→ 後方に動く
後方に傾く →→ 前方に動く
右側に傾く →→ 左側に動く
左側に傾く →→ 右側に動く
具体例で見てみましょう。
例えば、手押し相撲。
二人が向かい合って
面積の小さい台の上に乗り
手のひらで手のひらを押しあい
相手を台から落とす遊びです。
重心が前のめりになると
上肢を思いっきり後ろに引く反応が見られます。
肘を曲げて上肢の重量を反動にして
重心を後ろに引き戻そうとします。
重心が後ろに偏ると今度は
上肢を思いっきり前方に伸ばして
バタバタ、ぐるぐるしたりして
重心を前方に引き戻そうとします。
このように何かの障害物があり
お尻を引いたり、腰を前に突き出したりの
身体のカウンターバランスがとれない時は特に
上肢と下肢のカウンターバランスとしての
役割がはっきり見えるようになります。
上肢と下肢それぞれが
自分の重量を利用して引き戻しの力を発生させます。
動きのスピードを速めれば
引き戻す力は大きくなります。
思いっきり体から遠ざければ
引き戻す力は大きくなります。
上肢と下肢が激しく動いている状態とは
重心のふらつきが大きい状態であり
バランスコントロールが出来ていない状態です。
▼上肢と下肢の役割2)重心の位置を低くするおもりの働き
これは次回で。