シーティング「体幹を安定させるおもりとしての上肢と下肢の役割」【vol.158】
シーティング第一章「人の身体のこと」第4回目です。
前回は
身体のバランスにおける上肢と下肢の役割
2つの内の
「カウンターバランスとしての働き」でした。
今回はもう一つの働き
「重心の位置を低くするおもりとしての働き」です。
ただね、
これだと意味が伝わりにくい。
なので表現を変えます。
「体幹を安定させるおもりとしての働き」
とします。
上肢と下肢は
「重量」と「長さ」の2つで
体幹の安定に貢献しています。
▼重量の影響度
先ず「重量」から。
重い重量を動かした方が
カウンターバランスの力は大きくなります。
運動方程式はF=maですから
質量mが大きければ、力Fは大きくなります。
直観的にも分かりますね。
下肢の重量は、
上肢の2~3倍ありますから
重量が与える影響度で言うと
下肢の方が大きくなります。
大きくバランスを崩しそうな時は
たいがい下肢が動きますよね。
下肢のカウンターバランスの力は
単純に見ても
上肢の2~3倍あるでしょう。
▼長さの影響度
上肢と下肢の長さとは
そのものの長さではありません。
上肢の重心がどれだけ体幹から離れているか
下肢の重心がどけだけ体幹から離れているか
その水平距離のことです。
水平距離が長いほど
カウンターバランスの力は大きくなります。
上肢の重心の位置は
肘を曲げるほど体幹に近くなります。
また、脇を閉じるほど体幹に近くなります。
下肢の重心の位置もまた
膝を曲げるほど体幹に近くなります。
また、股を閉じるほど体幹に近くなります。
大きいカウンターバランスの力を得るためには
上肢であれば
肘を伸ばして思いっきり開くこと。
下肢であれば
膝を伸ばして思いっきり脚を開くことです。
▼「重量」と「長さ」でバランスを微調整
上肢と下肢は
「重量」と「長さ」を使って
バランスの微調節をしています。
重い物を素早く動かせば
その重量の力を借りて
大きなカウンターバランスの力を作れます。
軽い物をゆっくり動かせば
小さいカウンターバランスの力が作れます。
長さを長くすれば、
肘や膝を伸ばして思いっきり開けば
大きなカウンターバランスの力を作れます。
長さを短くすれば、
肘や膝を曲げて脇や股の開きを小さくすれば
小さいカウンターバランスの力が作れます。
これらを組み合わせて
バランスの調整を行っています。
以上を鑑みると、
上肢はバランスの微調整に向いていて
下肢は大きなバランス崩れの変化対応に向いている
ことが分かりますね。