シーティング「好ましくない座位姿勢を作り出す下肢の状態」【vol.172】
シーティングの3要素
第一章「人の身体のこと」第18回目です。
前回の続きで
「好ましくない座位姿勢を作り出す下肢の状態」
について取り上げます。
好ましくない座位姿勢を作り出す下肢の状態、
つまり
下肢が骨盤に作用して
骨盤後傾させ脊柱屈曲の反応を生む状態とは
次の様な時です。
1)ひざ頭の位置が骨盤より上にある
2)ひざを伸ばしている
3)がに股
4)内股
5)脚を組んでいる
では、一つずつ見ていきます。
▼1)ひざ頭の位置が骨盤より上にある
これには二つの理由があります。
一つは、
腹部の圧迫を解放しようとして
骨盤を後傾させる反応が見られる場合。
もう一つは、
臀筋群とハムストリングスが
骨盤を後傾させる場合です。
腹部の圧迫から説明します。
体育座りすると骨盤が後傾しますね。
これも同じ理由です。
ひざ頭が骨盤より上になると
鼠蹊部(そけいぶ)が圧迫され窮屈になります。
内臓・筋肉は骨盤を後ろに押し
圧迫を解放しようとします。
それで骨盤後傾が起きる。(下図)
ひざ頭 ┃
● ┃脊柱
\ ┃
\ ┃
\ ┃
\窮屈┃
\ ┃骨盤
\┃
ひざ頭 ┃
● ┃脊柱
\ ┃
\ ┃
\ /
\ 解放 /
\ /骨盤後傾
\/
もう一つの理由
臀筋群とハムストリングスが
骨盤を後傾させる場合を説明します。
臀筋群とハムストリングスは
股関節を伸ばす働きがありましたね。
二つの筋群が「どこ」と「どこ」の骨を
つないでいたか思い出してください。
臀筋群は
骨盤の腸骨と大腿骨、または
仙骨と大腿骨をつないでいます。(下図)
┃脊柱
┃
骨盤 ______
ひざ頭 \ /┓
●━━━━━━━━ ●/ ┃臀筋群
┃ ↑大腿骨 ┃ \/ ┃
┃ ┗━━━━━┛
┃
┃
┃
ハムストリングスは
骨盤の座骨と脛骨・腓骨、または
大腿骨と腓骨をつないでいます。
座骨とひざ頭周辺をつないでいますね。(下図)
┃脊柱
┃←
______
↓大腿骨 \ /←骨盤
●━━━━━━━━━●/
┃________\/←坐骨
┃↑ハムストリングス
┃
┃
┃
ひざ頭を骨盤より高い位置にすると
ハムストリングスが
座骨を引っ張ります。
また、
股関節屈曲になるので
臀筋群が腸骨と仙骨を引っ張ります。
こうなると
股関節を回転軸にして
骨盤が後傾させられます。(下図)
ひざ頭
↓
●
┃\
┃ \大腿骨
┃\ \↓
┃ \ \ ┃脊柱
┃ \ \ ┃←
\ \ |\ /
\ | \/
ハムスト \ | \
リングス ┃\| \←骨盤
┃ | \
┃  ̄ ̄ ̄ ̄ ┃
┗━━━━━━┛
↑臀筋群
筋肉の柔軟性が十分にあれば
どんなに坐骨・腸骨・仙骨を引っ張っても
大きな骨盤後傾は起こりません。
筋肉の柔軟性がない時
骨盤後傾が大きく起こります。
▼2)ひざを伸ばしている
ひざ関節を伸ばすと
ハムストリングスが坐骨を引っ張ります。
なので骨盤後傾が起きやすい。(下図)
┃\ /←脊柱
↓大腿骨 ┃ \/
───●─────────┃ \
┃ ┃ \←骨盤
┗━━━━━━━━━━━┗━━━━
↑ハムストリングス ↑座骨
▼3)がに股
がに股は
股関節の外転と外旋が合わさったものです。
骨盤が後傾する理由は
大腿骨が股関節を上に押す力が作用して
骨盤を後ろに倒そうとするからです。
大腿骨が外転して(外に開いて)
外旋(外側に捻じれる)と
股関節にはまっている大腿骨頭(だいたいこっとう)が
捻られて上を向きます。
そして骨盤の前を持ち上げる力を発生させます。
それで骨盤が後傾しやすくなります。(下図)
↓骨盤
──────────
\↑力F ↑/
● /\ ●←股関節
/ \/ \/ \
(↑股関節が外転・外旋の状態)
股関節と坐骨の位置関係をモデル図に示すと
こうなります。
┏━━━━┓
←┃ ┃
┃ ┃
┃ ┃
後┃ 股関節 ┃前
┃ ● ┃
┃ ↑ ┃
┃ 力F ┃
┗━●━━┛
座骨
(↑骨盤を真横から見た図)
股関節の外転・外旋によって生じた
骨盤を浮かす力Fは
座骨を支点にして骨盤を後傾させようと働きます。
▼4)内股
内股は、
股関節の内転と内旋が合わさったものです。
内股が骨盤後傾しやすいのは
座位になった時に
鼠蹊部の圧迫が強くなり
骨盤の前傾がしにくくなる
骨盤が後ろに押されて倒れやすい。
これが大きく影響しているように思います。
▼5)脚を組んでいる
これは1)と3)の組み合わせです。

