脚の位置関係で変わる骨盤の動き・座位姿勢の変化【vol.069】

vol.066とvol.067で
骨盤と脊柱を変化させる筋肉について触れました。

基本、これらの関係が理解できると
姿勢の変化がよくわかるようになります。

そこで

今回は、脚の位置関係が
骨盤をどのように変化させるか
ひいては座位姿勢にどんな影響をもたらすか、をまとめます。

以下の5つの例を挙げます。

1)足の位置が膝頭より前にある時と、後ろにある時
2)膝が上がっている時と、下がっている時
3)脚が開いている時と、閉じている時
4)がに股で座っている時と、内股で座っている時
5)脚を組んで座っている時

それでは順にみていきましょう。

●1)足の位置が膝頭より前にある時と、後ろにある時
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足を膝より前にするか、後ろにするかは
脊柱伸展に大きく影響します。

結論は

膝頭より前に足を置くと、骨盤は後傾しやすくなり
脊柱は屈曲しやすくなります。

膝頭より後ろに引くと、この逆
骨盤は前傾しやすくなり、脊柱は伸展しやすくなります。

この理由は、高齢者の多くが
太もも裏の筋肉・ハムストリングが短縮傾向にあるためです。

足を前に出すと
ハムストリングが坐骨を引っ張って骨盤後傾を引き起こし

足を後ろに引くと
ハムストリングの張りが緩み、坐骨が引っ張られないからです。

ですから
車いすに付いている足元の巻き込み防止ベルトは
移動してない時の座位中は外してください。

座っている方が自由に足を前後に動かせる状態にしてください。

このベルトを張ったままにしておくと
常に足の位置が膝頭より前になってしまうので
骨盤前傾・脊柱伸展の姿勢ができにくくなります。

あれは、走行中に足がフットサポートから外れて
巻き込まないよう予防するためのベルトです。

座位中は、足を後ろに引く妨げとなります。
外しておくのがベスト。

勿論

座位中は足をフットサポートから床に下ろしておくことは
いうまでもありません。

片麻痺で車いすを足こぎされる方は

健足を前後に動かす動作を繰り返すので
骨盤の前傾と後傾を坐骨を支点にして繰り返します。

ところが

床に足を思いっきり踏ん張るため
上半身を思いっきり背もたれに押し付けるので
骨盤の前傾が起こらず、

ほとんど骨盤後傾のままで足を動かしています。

この動作により、好ましくないずっこけ座り
仙骨座りを常にしてしまいます。

そうならないために

足を前に出して踏ん張るタイミングで上半身全体を前傾させ
脊柱が骨盤後傾をさせないような姿勢を覚えてもらうことです。

つまり、

踏ん張る時には状態を前傾させる
こうすると足に体重が乗ってが踏ん張れる。
そして床を蹴りだす。

足を前方に振り出す時には
上体を後ろに倒して、骨盤を後傾させて
太ももを上げやすくする

一連の連動運動を覚えてもらいましょう。

だけど

これをやり過ぎて健側だけ酷使するようなことがあると
それはそれで【過用症候群】となりますので
やり過ぎないようにしてください。

●2)膝が上がっている時と、下がっている時
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膝が上がると骨盤は後傾しやすくなります。

膝が下がっている時は足の位置で異なります。

足が膝より前にある時は、骨盤は後傾しやすくなります。
足が膝より後ろの足を引いた状態では、骨盤が前傾しやすくなります。

好ましい状態は

かかとが浮かない状態で
足底が床に付き
足首が直角で
膝が直角

丁度、太ももが床と平行になっている状態、です。

膝が上を向いていると骨盤が後傾しやすくなるのは
ハムストリングが坐骨を引っ張るため。

膝が下を向いている場合ですが

足の位置を膝より前にした時、

例えば椅子に浅く座って足を伸ばしてください。
すると骨盤が後傾するのがわかります。

これは
大腿骨と骨盤が立位に近い関係になるのが理由の一つ、それから

重心の位置が後ろに動くので
前方に引き戻そうとするカウンターバランス反応で
骨盤を後傾させて脊柱を屈曲させようとするから。

もう一つの

足の位置が膝より後ろ
足を引いた状態の場合ですね。

同じように椅子に浅く座り
足を座面真下に引き込んで座ってみてください。

骨盤が前傾して背筋が伸びますね。

これは
ハムストリングが緩んでいるので短縮の影響を受けない点と

重心が前方に移動したことで
後方に引き戻そうとするカウンターバランス反応で
骨盤を前傾させ、脊柱を伸展させているため、です。

好ましい食事の姿勢は

椅子に浅く座り、背もたれには寄りかからず
太ももが床と平行か、膝がやや下がり
足を座面下に引いた状態です。

こうすると、自然と背筋の伸びた姿勢が整います。

ただし、足を座面下に引いてクロスするのは
見た目が悪いので止めましょうね^^

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