拘縮と寝姿と抗重力筋【vol.092】
拘縮の4タイプを思い出してください。
・皮膚性拘縮
・結合組織性拘縮
・筋性拘縮
・神経性拘縮
長期臥床の高齢者に多い拘縮のタイプは
筋性拘縮と前回言いました。
筋肉をほとんど動かさない
関節を動かさない
筋肉の廃用性委縮や短縮
これらが引き起こす拘縮です。
▼長期臥床で拘縮が見られる高齢者を思い出してください。
どんな格好か、特徴を挙げてみてください。
頭の方から順に言ってみましょうか。
・頚部が後ろに反り返っている
・あんぐり口を開けている
・肘を閉じている
・手首が曲がっている
・脇を閉じて両腕を後方に引いている
・骨盤が捻じれている
・股関節が曲がっている
・両脚が交差している
・膝が曲がっている
・足首が伸びている
などなど
ざっと、こんなところでしょうか。
では、どうして、
筋肉をほとんど動かさない
関節を動かさない
筋肉の廃用性委縮や短縮があると
こんな格好になるのでしょう?
▼これには寝姿と抗重力筋が関わっています。
寝姿は、どんな姿勢・格好で寝てるか。
抗重力筋は、重力に対抗して体を支える
姿勢を保つために働いている筋肉のことです。
抗重力筋は、姿勢の違いで働く筋肉が違います。
立位、座位、臥位で違うし
臥位でも、仰臥位、側臥位、腹臥位で違います。
側臥位でも、右側臥位、左側臥位では全く違います。
どんな姿勢をどれだけ続けたかで
拘縮の格好が違ってきます。
逆に言うと、似たような拘縮の姿は
似たような姿勢が原因と言えます。
同じ抗重力筋を働かせ続けていた
筋緊張させ続けていたから成った、と言えます。
少し筋肉のことに触れましょう。
学者のような知識があれば越したことはありませんが
ここではそれは必要ありません。
感覚的なもので十分。
▼筋肉は動かさないと動きがぎこちなくなり
正常な筋肉でも動かなくなることがあります。
感覚的にわかりませんか?^^
筋肉の仕組みがどうであれ
蝶番が錆びて開閉がしにくくなった扉
これと似たような現象だと思っていい。
正常な筋肉でも動かなくなることがある、これは
車のシートベルトを一瞬強い力で引っ張ると
動かなくなりますね。これです。
これと同じ事が筋肉でも起こり
筋肉は正常に動くはずなのに
筋肉の緊張が解けずに一時的に動けなくなってしまう。
急に体に触れられた
強い力で体を動かされた、こんな時
筋肉は瞬時に緊張してこわばり、動かなくなります。
声掛けをしないで急に介助をされた
身体を勢いよく持ち上げたり抱え上げられた
これらが原因です。
こうして繰り返された筋緊張が
拘縮を助長すると言われています。
小さな小さなことを積み重ねた先に
あの拘縮の格好があるんです。
拘縮のある人に関節可動域訓練しても
なかなか改善しないことがありますね。
筋緊張を強めているからだ、と言われています。
拘縮を緩めるには
一にも二にも、筋緊張を緩めることが
効果的と言われるのはこのためです。
▼だからポジショニングが必要になってきます。
ポジショニングや体位変換は寝姿を変えることで
働く抗重力筋をまんべんなく分散させる行為
といってもいいですね。
拘縮が見られる方でも
日によって拘縮が緩むことがある
そんな経験はありませんか?
これにも寝姿と抗重力筋が影響しています。
次回は「抗重力筋」にスポットを当てて
拘縮の姿勢とのつながりをお話しします。