キーワード「クッションに重量を移す」【vol.135】

ポジショニングの実践に入ると

必ず登場するキーワードがあります。

「クッションに重量を移す」

今回は、この話です。

体位保持研修終了後の受講生のアンケートに

こんなのがありました。

「体のどこに重さが分散するのかがわからなかった」

ムフフフ…^^

残念だけどそんなに簡単に分からないよ

今のあなたがそれを望むのは欲張り過ぎかな^^

さて、

「クッションに重量を移す」

この言葉自体が分からない人はいないでしょう(笑)

どれも平易な日本語です。

ところが実際にポジショニングをさせてみると

理解できていないことが分かります。

理解できていないのは「重量」と「移す」

この二つです。

▼重量とは何の重量か?
重量とは「マス」の重さを指します。

「マス」はドイツ語で「塊」のこと。

マスが具体的に何かというと

1)頭、

2)体幹

3)右上腕、4)右前腕、5)右手

6)左上腕、7)左前腕、8)左手

9)右大腿、10)右下腿、11)右足

12)左大腿、13)左下腿、14)左足

です。

人体は14個のマスが関節でつながっている

と捉えられます。

▼移すとはどうするの?
クッションに「マスの重量」を「移す」とは

どうするのか。

平たく言えば受圧面積を広げて

体圧分散をすることを指しています。

ただ、それだけではありません。

一つ一つのマスが独立して

それぞれのクッションに支えられている状態を作る。

同時に、

つながっている隣のマスの重量の一部を

引き受けるように支えることも指します。

人体がベッドで横になった時

全てのマスがマットレスに均等に接触している

わけではありませんね。

ほとんど接触していない部分もあります。

特に頭、上肢、下肢がそうです。

ま、頭は「枕」なるクッションで保持することが

常識になってますのでイイんですが。

問題は上肢と下肢です。

これをクッションで保持すると言う常識がないんですね。

普段の生活では。

話を戻しましょう。

接触していない部分の重量は

接触している部分に乗っかってきます。

余談ですが

これを「重量が流れている」と言ったりします。

例えばこういうことです。

頭の重量の一部は、

首を介して肩甲骨に乗っかり

上腕の重量の一部は、

肩関節を介して体幹の肩甲骨に乗っかり

大腿の重量の一部は、

股関節を介して体幹の仙骨部に乗っかり

下腿の重量の一部は、

膝関節と足首関節を介して

大腿とかかとに重量が乗っかっています。

マスによっては

ほとんどマットレスに接触していない

なんてことが起こっています。

そのマスの重量は

関節を通じて隣のマスに重量が乗っかってるわけですね。

この状態をなくして

そのマス毎にちゃんと重量を支えるようにする。

それはつまり、

重量を移動している、移しているかのようです。

この時

マス毎に支えているつもりでも

隣のマスの重さも引きずっている状態が避けられません。

マスどうしはつながってますからね。

もし、

軽い方のマスが重い方のマスの

重量の一部を引き受けられれば、

重い方のマスの重量が

少しだけ見かけ上軽くできますね。

単にクッションでマスの重さを受けるだけでなく

繋がっていることを利用して

重たい方のマスの重量を隣のマスが分担する

こんなことも出来ます。

このようなニュアンスに合っている言葉が

「移す」ではないでしょうか。

▼もう一度、整理しましょう
「移す」ですることは2つあります。

一つは、

マス毎に重量をクッションに預ける。

もう一つは、

隣り合うマスどうしで重量を分担し合う状態を作る。

これが「移す」です。

一つ目の「マス毎に重量をクッションに預ける」と言うと

棒グラフの様な凸凹の支えを連想しますが

あくまで連続したなめらかな局面で支えることが基本です^^

「クッションに重量を移す」

簡単に言ってますが

やってることは複雑です。

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