補足|クッションに重量を移すの極意【vol.136】
「クッションに重量を移す」の意味を
ポジショニング事例を交えてご説明します。
先ず、前回のおさらいです。
▼「クッションに重量を移す」でしていることは2つ
1)マス毎に重量をクッションに預ける。
2)隣り合うマスどうしで重量を分担し合う状態を作る。
この二つがどのように成されているか
観ていきます。
ポジショニング事例は
仰臥位の下肢のポジショニングにします。
膝が「く」の字に曲っていて伸ばせない。
膝裏がマットから10cm程度浮いている。
そんな状態の下肢とします。
横から見た絵はこんな感じ↓
下腿
↓/\
足↓ / \←大腿
_/ ↑ \_______○頭
■■■■↑■■■■■■■■■■■■■■←マットレス
↑
10cmの隙間
複雑にしないために
下肢の外旋や交差はほとんどない状態とします。
足側から見た絵はこんな感じ↓
│ │
│ │←下腿
│ │
■■■■■■■■■←マットレス
この事例は、
「クッションに重量を移す」の理解に
とても良い基本事例です。
では、行きます^^
▼「マス毎に重量をクッションに預ける」とは
「足」「下腿」「大腿」それぞれのマスを
クッションが支えている、
そんな状態を作ることです。
膝が浮いている状態は
下腿と大腿の重量を受けるものがない状態です。
下腿の重量のほとんどは足に乗っかっているし、
大腿の重量のほとんどは体幹(骨盤)に乗っかっています。
かかとと仙骨に掛かる圧迫が増大し
床ずれができやすい状態です。
下腿の重量を足に乗せない。
大腿の重量を骨盤に乗せない。
これがポイントです。
こうすれば
かかとに掛かる圧迫が下がり
骨盤に掛かる圧迫が下がります。
膝裏にできた隙間に
クッションを挿入する目的は
下腿と大腿の重量を支える「受け」を作るためです。
なので、
クッションを引っ張っても簡単には抜けません。
簡単にクッションが抜けるようでは
下腿と大腿の重量の「受け」になってない。
ダメなポジショニングの典型です。
下腿と大腿の重量をクッションに受けてもらうには
クッションの高さを必要とします。
かかとが浮く程度の高さが必要です。
かかとが浮かないと
下腿の重量はかかとに乗ったままとなり
下腿も大腿もその重量がクッションに乗りません。
~~~~~
今、サラッと言いましたが
大腿の重量もクッションに乗らなくなります。
もう少し細かく説明します。
▼「隣り合うマスどうしで重量を分担し合う状態を作る」とは
かかとが浮くと
下腿は足と大腿の重量にも引っ張られて
その重量がクッションに乗ります。
かかとが浮くと
大腿は下腿と足の重量にも引っ張られて
その重量がクッションに乗ります。
しかし、
大腿は重い体幹に繋がってますので
体幹、特に仙骨付近を
完全に浮かすことはできません。
それでも、
大腿が引っ張られ持ち上げられることで
仙骨に乗っかっていた重量を減らせます。
クッションの高さを高めに調節すると
大腿が骨盤を引っ張っる力を発生させ
仙骨に掛かる圧迫を軽くできます。
足、下腿、大腿の重量を単体で支えつつ
つながりを利用して引っ張り合う力を発生させる。
これが
「隣り合うマスどうしで重量を分担し合う状態を作る」です。
次回は、
同じ下肢のポジショニング事例で
クッションの高さの作り方と
どのように支えるかを取り上げます。