シーツにバスタオルを重ねて敷くのは止めよう【vol.007】
もし、
バスタオルの上に要介護者を寝かせて介護に利用しているなら
バスタオルの使用は止めましょう!
皮膚を損傷させたり、床ずれを作ったりするので危険ですよ。
と言う話です。
バスタオルを敷いて介護に利用する理由は、
●介護ベッドで身体の位置がズレた時
バスタオルごと引っ張って身体を移動できる
●体位を変える時、仰臥位から側臥位にする時など
バスタオルを引っ張って簡単に身体を起こせる
など。
介助する側にとって
バスタオルは大変便利な道具になっているのが現実です。
だからはじめからセットしておく、訳です。
使い方自体、正しい福祉用具を使って行えば問題ないのですが
バスタオルを敷きっ放しにして使用している点に問題があります。
問題点は三つ。身体へのストレス、蒸れ、シワ、です。
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●身体へのストレス
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バスタオルを引っ張って身体を動かすと
皮膚および身体の内部組織にストレスがかかります。
バスタオルを引っ張ると
身体はバスタオルと一緒に動いてるように見えますが
細かく観ると人の体は個体ではないので
最初に皮膚が引っ張られ
続いて筋組織が引っ張られ
最後に骨格が引っ張られる、動きをしています。
皮膚⇒筋組織⇒骨格の順に動かされることで
皮膚には突っ張りが生じ、内部組織には応力が発生し
少なからず身体にダメージが加わります。
「応力」とは、身体の内部組織に生じる力で
圧縮応力、せん断応力、引っ張り応力、の三つがあります。
応力が発生した箇所は、毛細血管が潰され
血流が少なくなるか、途絶えます。
つまり、床ずれになりやすい状況が作られます。
これが身体へのストレス。
体位を変える時、仰臥位から側臥位にする時なども
バスタオルを引きよせて身体を起こすと
同じ原理で皮膚を突っ張らせ、応力を発生させてしまいます。
特に注意が必要なのは
30度側臥位のような身体を斜めに保持する体位です。
体には常に滑り落ちようとする力が働くので
皮膚には大きな突っ張りの力が
身体の内部組織では、せん断応力と引っ張り応力が大きくなります。
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●蒸れ
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蒸れは、皮膚の突っ張りを更に強くしてしまいます。
接触面の摩擦抵抗が大きくなるからです。
適度な湿気でサラサラしている時は
バスタオルとパジャマと肌着と皮膚は
それぞれの接触面の摩擦抵抗は小さく、擦れ合いますが
べとついて湿気を多く含む状態では
バスタオルとパジャマと肌着と皮膚は
それぞれの接触面の摩擦抵抗が大きくなり、引っ掛かってしまいます。
バスタオルを力任せに引っ張ると
皮膚には強い引っ張っりの力が加わります。
最悪の場合、湿ってふやけた皮膚を破いてしまいます。
バスタオルの素材の多くは綿。
綿素材は吸水吸湿性は良いのですが、乾燥性が悪いのが難点です。
しかも、バスタオルは糸をループ状に編んだパイル地になっています。
パイル地はクッション性が良く肌触りが良いのですが通気性がなく
敷きっ放しで寝ると、熱がこもりやすくなります。
こもった熱で汗をかき
皮膚・肌着・パジャマ・バスタオルを湿らせます。
特に、夏場のバスタオルは寝具として不向きです。
たとえ冬場でも、寝室の温度が高く設定され
布団や毛布を重ねすぎると体温が上がり寝汗をかき
夏場同様、皮膚・肌着・パジャマ・バスタオルを湿らせます。
湿って蒸れて接触面の摩擦抵抗が大きくなった状態で
バスタオルを引っ張ると皮膚へのストレスが増大します。
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●シワ
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バスタオルは敷きっ放しにして使用すると
少し身体を動かした程度ですぐシワができます。
シワのところに団子状のコブができます。
このコブが身体を圧迫して血流を阻害し
床ずれのできやすい状態を作り出します。
シワをすぐに伸ばせば良いのですが
現実問題として無理ですよね。
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以上の理由から、
バスタオルを使った介護は止めましょうと言うのが
今や当たり前の考え方です。
まだバスタオルを使っていると言う方がいたら
すぐに使用を止めて下さいね。
それでも、バスタオルのような使い方ができて
バスタオルの欠点、蒸れる・すぐシワになるを軽減した
体位変換補助パッドなる商品があります。参考にしてください。
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介護ベッドのマットレス上で身体の位置を直す時は
スライディングシートを使い
皮膚にストレスを与えないようにしましょう!
それが相手の身体に負担を掛けない介護であり
自分の身体に負担を掛けない介護です。