90度側臥位は両脚を揃えた方が良い【vol.096】
拘縮を予防したい
または緩和したい
これには体位変換サイクルを変えても
ポジショニングが上手く出来てないと意味がありません。
姿勢保持は、体の捻じれ、傾きがないよう
姿勢を整える。これが基本です。
前回の最後に、90度側臥位では
お腹の中の赤ちゃんのような格好
身体を丸めた姿勢のほうが良い。
両脚は、開かず、揃えて。
と書きました。
先ず、訂正させてください。
「両脚は開かず」これは表現が間違ってました。
「両脚を前後にずらさず」と言うべきでした。
「開かず」と「前後にずらさず」とでは
脚の肢位が全く違いますね。失礼しました。
お詫びして訂正します。
両脚を前後にずらした格好と言うのは
寝てるところを上から見た時に
丁度、歩いているように見える格好ですね。
このようにはしないで
両脚を同じ形にして重ねた方が良い。
と言うことです。
何でか?
今回はこの理由をお話しします。
▼両脚を揃えると、危険じゃない?
先ず、そう思いませんでしたか?
膝の内側の骨とくるぶしの骨が当たって
床ずれが出来ちゃうんじゃない!?と。
実際その通りで、
床ずれ発生リスクがありますから
脚の間にタオルなりクッションなりを挟み
直接両脚が当たらないよう
ポジショニングが必要になります。
このやり方については後でご説明します。
他にも、
上の脚の重みで下の脚が圧迫されるから
下になった脚と大転子に床ずれ発生リスクが高くなる。
そう、思いましたよね。
だから、
90度側臥位では脚を前後にずらしましょう
と教わった方もいらっしゃると思います。
私も昨年まではセミナーでそのように話していました。
では、どうしてその考えを変えて
両脚を揃えた方が良い。となったのか…。
▼90度側臥位をどっらの面から観るか
床ずれ予防の面から見ると
両脚はずらした方が好ましいと考えていましたが
拘縮予防の面から見ると
それは好ましくないと考えるようになったんですね。
理由は拘縮発生の原因にあります。
拘縮発生の原因は何でしたか?
抗重力筋の緊張がありましたね。
抗重力筋に限らず、筋緊張が起こる状態は
拘縮を予防する上では望ましくないと言えます。
一旦、床ずれ発生リスクについては
こっちに置いときますね。
(こっちってどっちやねん^^)
抗重力筋の緊張以外の
余計な筋緊張が極力起こらないように、と考えた時
何をすればいいか、と言うことです。
筋緊張が生じるのは不自然な姿勢の時です。
不安定、曲がってる、捻じれてる
こんな時に起こります。
両脚を前後にずらすと骨盤の捻じれが起こります。
この捻じれが微妙な違和感となり落ち着かず
筋緊張を起こさせてしまいます。
勿論、介助する方が骨盤捻じれを直して
安定したポジショニングをすればいいのですが
ほとんどの場合、捻じれが発生していることに気付かないでしょう。
それだったら、
両脚を揃えれば誰がやっても
骨盤の捻じれは、ほぼない状態にできます。
これが一番大きな理由です。
▼腰と膝を軽く曲げ両脚を揃えた方が落ち着く
他の理由としては
腰と膝を軽く曲げて
両脚を揃えて寝たほうが落ち着くからです。
2年近く前になります。
あなたの好きな「寝る姿勢」は何か?
のアンケートを取った時
半数の方が横寝、いわゆる90度側臥位が好き
と回答していました。
私も90度側臥位が好きな一人です。
普段、自分の90度側臥位の格好は
どんなだったかな…?と思うと
腰と膝を軽く曲げて
両脚を揃えた格好をしています。
ベッドに横になって
両脚を揃えた時と前後にずらした時
どっちが落ち着くか試してみましたが
やっぱり両脚を揃えた方が落ち着きます^^
もっとも、
両脚を伸ばして揃えて90度側臥位になると
前後にふらついて体位が安定しません。なので、
腰と膝を軽く曲げて倒れないように安定した格好をとる
のが自然なのかも知れません。
また、
寝たきり要介護者の体の特徴として
円背、腰椎扁平、ハムストリング短縮などがあるので
腰と膝を軽く曲げた方が
筋緊張はほぐれるんですね。
脚を前後にずらすと
後ろに引いた脚が伸びますので
無理に骨盤前傾を促し
骨盤周りの筋緊張を引き起こしてしまうんです。
リラックスできなくなるんですね。
これは拘縮予防の面からすると
好ましくありません。
90度側臥位時の両脚のポジショニングのやり方は
次回にします。