側臥位の安定は支持基底面作りから【vol.147】
側臥位のポジショニングは
クッションを身体に当てる前に
やるべきことがあります。
それは、支持基底面を整えることです。
今回は、
支持基底面の整え方について説明します。
不安定な支持基底面のまま
クッションを身体に当てても
安定感は得られません。
安定感のある支持基底面さえ出来ていれば
クッションが不要となる場合があります。
側臥位の安定は支持基底面で決まる
と言えます。
側臥位のポジショニングは
支持基底面を安定しやすい形に整えることから始まります。
▼仰臥位をそのまま側臥位にすると…
イラストで説明しましょう。
このように
直立不動状態の仰臥位をそのまま側臥位にすると
体位は不安定になります。
理由は2つあります。
1)支持基底面が小さくなる
2)重心の位置が高くなる
1)支持基底面が小さくなる
┌──┐ ┌─┐
│ 頭 │ │頭│
┌ ┐ │ │
│ 体 │ │体│
│ 幹 │ │幹│
│ │ │ │
└ ┘ → │ │
│ │ │ │
│ 下 │ │下│
│ 肢 │ │肢│
│ │ │ │
└──┘ └─┘
仰臥位 側臥位
側臥位の支持基底面は
実際にはもっと幅の狭い形になっています。
2)重心の位置が高くなる
┌─┐
│ │
┌───┐ │★│
│ ★ │ → │ │
└───┘ └─┘
仰臥位 側臥位
※★印は「重心」
このような側臥位は
前後に倒れやすい状態にあり不安定です。
体位が不安定だと…
↓
筋緊張が緩まず…
↓
拘縮につながる。
この流れを生んでしまいます。
▼物体を安定させるには…
・物体の重心を低くする、か
・物体の支持基底面を広げる
方法がとられます。
側臥位の状態で、
身体の重心の位置は変えられません。
なので、
側臥位を安定させるためには
身体の支持基底面を広げる方法を取ります。
▼支持基底面を広げるには…
二つの意味を含んでいるので
ここで整理しておきます。
一つは、面積を大きくすること。
もう一つは、形を広げること。
面積が大きいだけではダメで
形が重要になります。
むしろ、面積は小さくなったとしても
形さえ良ければ安定感は得られます。
仰臥位をそのまま側臥位にしただけだと
支持基底面の面積が小さくなり、しかも
形が細長い棒状になります。
これでは、側方に倒れやすくなります。
┌─┐
|頭│
| │
│体│
|幹│
←|★│→側方に倒れやすい
| │
│ │
|下│
|肢│
| │
└─┘
仰臥位
※★印は重心
では、どのようにするか。
▼側臥位を安定させるには…
先ず、身体を屈曲させ支持基底面の形を広げます。
以下のイラストように身体を屈曲させると、
支持基底面が広がり安定感が増します。
/\ /\
\頭\ │頭 \
\ \ │ \
│体│ │ 体 │
│幹│ → │ 幹 │
│★│ │ ★ │
/ / │ │
/下/ │ 下 │
\肢\ \ 肢 │
\ \ \ │
\/ \/
身体を屈曲 → 支持基底面の形
※★印は「重心」
身体を屈曲することの効果は
側臥位の安定感を作るだけではないんです。
体幹固定筋の
特に背中側の筋肉を伸ばすことで
筋緊張を緩めてくれます。
側臥位のポジショニングは
支持基底面を整えることから始まり、
その上で、クッションなどを使用して
姿勢をサポートしていきます。
次回は、
30度側臥位のポジショニングです。