仰臥位・円背(えんぱい)のポジショニングは脚も重要【vol.143】
今回のテーマは「円背」です。
円背の方が仰臥位で
安楽な姿勢でいるためのポジショニングです。
円背の方の場合は
ポジショニングにおいて
全身の配慮が必要になります。
マットレスから浮いた背中だけでなく
腰から下、脚のポジショニングが欠かせません。
▼なぜ脚のポジショニングが必要か
理由を簡単に説明します。
立位で見てみましょう。
円背の方は必ず膝が曲がりますよね。
これは
身体の「カウンターバランス」です。
カウンターバランスは、
前方に片寄りすぎた重心を後方に引き戻す
バランスを取るための自然な反応です。
円背は脊柱が前方に屈曲することで
重心が前のめりになります。
このままではバランスが保てないので
身体を後ろに引いて重心を引き戻そうと反応します。
この時、脊柱屈曲したままですので
お尻を後ろに引くことが出来ません。
上半身を後ろに引き戻すためには
より大きく骨盤後傾させるしかありません。
骨盤後傾が大きくなると
膝を曲げないと立っていられなくなります。
このような身体の反応が長期にわたることで
骨格変形が起こり
股関節の可動域が狭くなります。
こうなってしまった身体を臥位にしても
脊柱屈曲、骨盤後傾の姿勢は変わりません。
股関節を曲げ、膝を曲げないと
安楽に寝ていられません。
もし、股関節を伸ばし膝を伸ばすと
脚の重みが骨盤を前傾させる力が大きく働いて
腰椎を前湾させようとします。
円背の方は腰椎がまっすぐに変形してますので
腰椎を前湾させようと働く力は
苦痛でしかありません。
なので、その力が骨盤に作用しないように
股関節を曲げ、膝を曲げる必要があります。
では、
円背で仰臥位のポジショニングに入ります。
▼目指すべき姿勢は円背を軽減する姿勢です。
重力を利用して自然と身体が伸びるようにします。
降りたみ傘が自然と開くように身体を広げます。
脊柱屈曲、骨盤後傾の傾向が軽減するように
股関節が自然と伸びるように
膝が自然と伸びるように、です。
無理は禁物。
脚のポジショニングは
これまで説明した方法を取ります。
脚全体が乗る大きなクッションに乗せる
あるいは
いかだ上のクッションを使って溝に両脚を沿わせる
高さが足りなければ
その下に別のクッションを挿入してかさ上げする。
電動ベッドのひざ上げ機能を併用する。
そして
尖足にならないように配慮する。
こうしたことがポイントになります。
▼上半身のポジショニングのポイントは3つ。
1)背中の後ろの支え
2)浮いた肩と両腕の支え
3)頭部の支え
次回から、詳細です。