尖足(せんそく)予防のポジショニング方法【vol.140】
仰臥位、下肢のポジショニングでは
これで最後です。五回目です。
今回は、
尖足予防のポジショニング方法の話です。
「習慣性尖足」や「麻痺性尖足」は
予防が可能で、また、改善も可能です。
予防と改善のポイントは二つです。
1)足首を動かす環境を整えること。
2)寝ている時に足首を曲げた状態を維持する環境を整えること。
これから
尖足予防のボジョニング方法に入りますが、
その前に、
ボジョニング効果を高めるために
予防と改善のポイントを整理します。
▼普段から足首を動かす環境を整える
日常生活の中に足首が曲がる状態を作ります。
足の裏を足底(そくてい)と言います。
足底が床に付く生活をできるだけ取り入れ、
足底に体重がかかる環境をできるだけ作ることです。
椅子に座るとか
車いすに座るとか
移乗方法は足底を床に付ける方法を選択するとか
ちょっとでも立つとか、
とにかく可能な限り
足首が曲がり、
足底に体重がかかる時間を作ります。
それでも可動域を広く使えていないので
可動域を保つための運動リハも取り入れます。
「麻痺性尖足」の場合は特に
この環境を整えることが大事です。
▼寝ている時に足首を曲げた状態を維持する環境を整える
習慣性尖足の発生原因は
足首を伸ばす負荷を、
長時間に渡り掛け続けたこと、です。
寝ている時間に足首を曲げた状態で過ごす。
「麻習慣性尖足」の場合は特に
この環境を整えることが大事です。
そのためには、
・掛け布団の掛け方に配慮して、
・安定したポジショニングを施すことです。
▼掛け布団の掛け方に配慮する
仰臥位では掛け布団の重みで足首が伸ばされます。
先ず、掛け布団の重みを取り除きましょう。
方法は前回【vol.139】でも紹介しました。
段ボールなどで囲いを作る方法。
掛け布団を立体的に掛ける方法です。
掛け布団を立体的に掛ける方法では
つま先に掛かる負荷への注意が必要です。
ちょっとした負荷をつま先は感じて不快になります。
床ずれ発生のリスクとなりかねません。
要注意です。
▼安定したポジショニングを施す
やっと、ポジショニング方法の話に入ります(笑)
クッションを足底に当てる方法で
足首が曲がる状態を保持します。
足首が具体的に何度曲がっていればいいか、
これには指標がありません。
今のところ、医学書を調べてみても
明記された角度を見つけることはできませんでした。
私個人の意見ですが
直角である必要はないと考えています。
すみませんが、根拠はありません。
えい、やっ、で決めてしまいますと
脛と足首関節、足首関節と親指を結ぶ直線の成す角度が
130度を目安にすればいいと考えます。
絵にすると130度はここです。
●←親指
130度 /
↓ /
/
────────●←足首関節の中心
↑脛
この角度は、
仰臥位で下肢がまっすぐ伸びている時の
自然な足首関節角度です。
この角度だと足底が90度に近くなります。
下肢をポジショニングして
かかとがマットレスから浮く状態になっても
寝ている間、
この角度で保持できていれば
問題はないと思います。
▼おすすめの三角クッション
130度に角度を保つには
クッション自体に角度が付いていると便利です。
クッション断面が三角形をした
「三角クッション」の使用は
角度調節が簡単でおすすめです。
クッション中身の素材が
低反発ウレタンフォームの方が
角度をキープしやすいですね。
クッションは動かないよう安定させてください。
ベッドの足側の板・フットボードを
ストッパー代わりに利用して位置を固定します。
フットボードまでに距離があって
隙間が出来る場合は他のクッションを挟み込んで
隙間埋めをします。
以上、
仰臥位、下肢のポジショニングはここまでです。
次回は
仰臥位における腰から頭にかけての
ポジショニングについて。