下肢の高さをどう作り、どのように支えるか【vol.137】

前回の続き、下肢のポジショニングです。

初めにちょっとだけ補足説明をさせてください。

考え方が理解しやすいよう、下肢の状態を単純化しましたね。

そもそも、

仰臥位で、ひざが「く」の字に曲がっていて

ひざ裏がマットレスから10cm浮いているのに

両下肢とも外転・外旋、内転・内旋はない状態でいられること自体

不自然であり得ないと思われたと思います。

膝が浮いたまま下肢が横倒れしないでいられるはずないですよね。

その通りなんです^^

多くの場合は、

膝が曲がったまま左右どちらかに倒れ

下肢と骨盤がねじれている状態を作り出しています。

ポジショニングを施していなければ、必ずこうなります。

ずーっと骨盤がねじれた状態でいるのは体に悪いし、

体がねじれたまま固まったらもっと悪いですよね。

今回のポジショニング事例は

そうならないようにするための基本の方法でもあります。

ひざ関節の拘縮を緩和しつつ

かかとと仙骨部の除圧をしつつ

下肢全体の筋緊張を緩めながら

両下肢とも外転・外旋、内転・内旋がない状態に保つ。

この目的で行うポジショニングの方法です。

前置きが長くなりました。

では、今回の本題に入ります。

下肢をポジショニングする時、

「高さをどう作るか」、「どのように支えるか」に入ります。

▼高さをどう作るか
<下肢の重量をクッションに移すためには

かかとを浮かせる必要があります。

どのようにして高さを作るか、

メインの方法はクッションを使い

その上に下肢を乗せる方法です。

それでも高さが足りなければ

クッションの下に別のクッションを差し入れる方法で

高さを出します。

また、

電動ベッドのひざ上げ機能を活用して

高さをちょい足しする方法もあります。

せっかく付いてるひざ上げ機能ですから

使いましょうよ^^

場合によっては

クッションを使わなくてもひざ上げ機能だけで十分かもしれません。

ポジショニングの実習をすると皆さん

全然電動ベッドの機能を活用しないんですよね~。

マットレスの曲がる位置が

寝てる方のひざの位置と合致しない場合もありますが

まったく利用できないわけではありません。

微妙な高さが欲しいときには使える機能です。

2モーターベッドだとひざだけ上げられませんので

電動ベッドは3モーターベッドを使用しましょう。

▼どのように支えるか
クッションを使ってどのように下肢を支えるといいか。

支え方云々の方法論よりも大事な点は

下肢の筋緊張が緩んでリラックスしているかどうか、です。

リラックスしているかどうかの確認は

脚全体を軽く手で揺さぶるとわかります。

脱力していれば滑らかに揺れます。

筋緊張が残っていると

脚を揺らした時の動きがこわばっています。

ポジショニングの後に

下肢を揺さぶることには二つの意味があります。

1)クッションと皮膚をなじませるため。

2)相手にサインを送るため、です。

一番の説明は特に要らないでしょう。

二番の相手にサインを送るとは、

「リラックスしても大丈夫ですよ

あなたの脚はちゃんとクッションが支えています

安心して力を抜いていいですよ」

と伝えることです。

寝てる方は揺さぶられた時の感触から安定感を感じ取ると

自然と力が抜けてリラックスするようになります。

意思の疎通が取れない方でも、ちゃんと伝わります。

すぐにリラックスする場合と

少し時間をおいてからリラックスが見られる場合があります。

すぐリラックスしないからとダメだ、と決めつけず

観察を続ける中で良し悪しを判断しましょう。

▼どのように支えるか、配慮すべき点

次の3点に注意を払います。

1)下腿と大腿を一つの広い面で支えること

2)段差のない滑らかな面で支えること

3)ぐらつかない安定感があること

直接、下腿と大腿が乗る支持面は一つのクッションで作ります。

面積の大きいクッションを使いましょう、ということです。

そのほうが段差ない滑らかな支持面となりフィット感がよくなります。

高さが足りなければ、クッションの下にクッションを入れるか

電動ベッドのひざ上げ機能で調節します。

表のクッションのフィット感を損なわないように注意して高さを作ります。

高さを作るために差し込むクッションが少ないほど

支持面の形が崩れにくいので安定感が出ます。

市販のポジショニング用クッションに

丸太をつないだイカダ状のクッションがあります。

つなぎ目の溝に脚を添わせ

ここに大腿と下腿を挟むようにして安定感を作り出します。

下肢のポジショニングにお勧めしたいクッションです。

他にも、面積が広く厚みのあるクッションもお勧めです。

中材にウレタンチップやポリエステル綿を使用した物は

中材を寄せたり広げたりして

それ自体で高低差を作ることが可能になり

使用するクッションを少なくできます。

次回、もう少し補足します。

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